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「線路は続くよ」の巻

 車社会のロサンゼルスにも鉄道がないわけではない。前回紹介したアムトラックの路線以外にも、郡営の地下鉄とライトレールがある。
 さらに詳細な地図を眺めていると、意外に鉄道の線路が多いことに気がつく。蜘蛛の巣状に張り巡らされていると言っても過言ではない。車を走らせていても、この写真のような踏切に結構出くわすのだ(2006年5月12日撮影)。どこか発展途上国の場末みたいな感じがするこの線路は、LA南部にある日本街と言いうるTorrance(トーランス、またはトーレンス)にある専用線。LAに住んでいたころ何度も通ったが、ここで列車が通るのを見たことはない。まぁ、筆者が住んでいたのはLA市内だったから、実は定期列車があるのかもしれない。もちろんここは貨物専用線だ。
 その昔、ロサンゼルスにはパシフィック電気鉄道による、かなり複雑な旅客鉄道網があった。最盛期は総延長1700km、1日3000本の列車を運行させていたという。が、端折って言うと、自動車会社と石油メジャーの陰謀?で1961年に全廃されたという話だ。その名残が、ロサンゼルス港があるサンペドロにある観光用の「赤い電車」である。そして先ほど紹介した郡営のライトレールは、かつてあったパシフィック電鉄の路線の一部をなぞるように延長されている。
 さて、LA南部にあるこのような踏切では、他の場所でも滅多に列車を見ることは無い。たまたま列車を見られたら、それは運が良いのかもしれないが、その逆であることが多い。なぜならば、たまに通る貨物列車が、これでもかーという位超大編成であることがしばしばだからだ。このあたりは石油精製工場があるので、タンク車が車列を作って、長ければ10分近く遮断機を降ろすこともある。筆者も別の踏切で5分ほど待たされたことがある。そういい超大編成を見たい人は、LAから15号線をラスベガス方面へ車を走らせていくと、右手に線路が見えてきて、しばらく平行して走るところがある。そこか、フレズノ方面に99号線を走らせると、左手にしばらく鉄道線と並行して走るところに出くわす。そのあたりでどうぞ。ただし、日本のように便利な時刻表は存在しない。
 実は鉄道写真を無闇にとっていると、犯罪を疑われる。そう、テロの下見か何かと思われるのだ。筆者がLAにいたころ、筆者の指導教官であった先生(好き者)と一緒にLAの中央駅に写真撮影に行ったら、警察官に職務質問を受けたことがある。これは他の国でも同様で、撮り鉄の人は注意してもらいたい。
 
拙ブログ『無闇にアメリカに来てはいけない』より「線路は続くよ」(2006年06月09日 04:41付)に加筆修正した。

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