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【読書感想文】ザリガニの鳴くところ

感想


 読者諸君、ごきげんよう。
 疲れてへとへとで帰宅して、お腹がペコペコで料理をしようとして、そこで初めて冷蔵庫に何もなかった事を思い出し、帰宅途中に買い物に行かなかったことを後悔する。そして結局、炭酸を飲んでお腹を膨らまして寝る。
 この世は残酷だ。でも、こんな阿呆みたいな夜が愛おしかったりしないか。どんなに酷いことがあっても、人生は美しいと思うタイプの人間である私だ。

 今日は初めて海外の小説を紹介する。もうすぐ日本で映画が公開されることでも話題な「ザリガニの鳴くところ」だ。著者のディーリア・オーエンズは、動物行動学で博士号をとっている方でもある。
 だからだろうか。川の流れ、植物の様子、虫や動物の行為など、リアルな自然の表現が上手いのだ。そして、それを人間の感情と結びつけるのも上手い。(もちろん、翻訳した友廣純さんの技量もあるだろう)

 それでいて物語はサスペンスなのだ。自然の描写が事件の複雑さを引き立てる。

ここには善悪の判断など無用だということを、カイアは知っていた。そこに悪意はなく、あるのはただ拍動する命だけなのだ。たとえ一部の者は犠牲になるとしても。生物学では、善と悪は基本的に同じであり、見る角度によって替わるものだと捉えられている。
P198より

 カイアを取り巻く事件にも、果たして同じ事が言えるのだろうか。読者諸君には是非一緒に考えてほしい。取りあえず本を読んでくれたまえ。

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