100年、120年生きる時代の一助に "薬膳料理研究家 甲木里枝さん"
国家公務員として司法の世界に従事された後、自身の体の不調などをキッカケに薬膳料理研究家に転身。次代を見据えながら活動されている甲木さんにお話を聞いてきました。
プロフィール
出身地:福岡県福岡市
活動地域:福岡、東京
経歴:同志社大学大学院修了後、12年半国家公務員として勤務。その後、一念発起して薬膳料理研究家に転身。
活動:薬膳料理研究家。国際薬膳師。薬膳料理教室『薬膳ハウス金木犀』主催。薬膳理論を応用し、どのジャンルの料理にでも合わせた薬膳レシピを作ることが得意。テレビ出演、輸入貿易会社の経営など多岐に渡り活動している。
「100年、120年生きる時代に向けて」
Q.現在、どのような夢やビジョンをお持ちですか?
甲木里枝さん(以下、甲木) これから私たちが生きる世界は、きっと寿命が100年、120年と続いていく世界だと思います。そして、その長い人生の間で病気になってしまったり、その病気の後の回復過程であったり、 持病抱えながら生きていったりと、何かしらのことがありながらも100年、120年生きる時代になっていくと思っています。
その時に病気を持っている、未病で苦しんでいるといったことを隠すのではなくて、「私はこんなの持ってるんだよ。でも楽しく生きてるんだよ。」というように、みんなそれぞれ弱さがあって多少困っていることがあったとしても、それも自分の一部として楽しく生きていけるという時代が来るのだろうと思います。そして、それはどこか体が動かないとか何か病気があったとしても、それがその人の個性で、その人の一部でそのまま生きていける世界だとも思います。
私は、薬膳がそんな時代の一助になればと思っています。
「今ここを生きる」
Q.それを具現化するために、どんな目標や計画を立てていますか?
甲木 それがないんです(笑)。未来を映像で思い浮かべたり、こんな風になるのかなというイメージはありますが、「自分はこうしたい」「絶対にこうしたい」ということはないんです。今日1日どんなことを感じるのかなとか、どんなことが起こってどう対処するのかなということを考えていますね。
輸入貿易の会社も経営しているので、仕入れの計画等は会社の業務として立てています。でも、立ててしまったら一旦忘れ、「今日、どうしようかな」と思って今ここを生きています。なので、おっしゃる方が多いことですけど今日このまま寝て、そのまま死んでしまったとしても幸せだったと思えると思います。
「感情、経験には善悪がない」
Q.その目標や計画に対して、どのような活動指針を持っていますか?
甲木 指針は「自分がどう感じているか」ということです。今日1日の中で私はどう感じるのかなと考えています。怒ってること、悲しんでることを含めて、感情には善悪がありません。どんな感情もどんな経験もそこには善悪がなくて、ただそれを感じるようにしています。
また、活動していく中で私は楽しいという方向に答えがあるような気がしています。でも、楽しいということをするために勉強が必要だったらその勉強を惜しまないし、イベントを行うとしたら企画や計画はきちんと立てます。楽しむための準備は万全に整えるタイプです(笑)。
記者 なるほど、言葉の端々に説得力や納得感、深さを感じます。楽しい、今が大事と言ってもそこに重さがありますよね。
甲木 命がけなんでしょうね。幼少期の頃から病気をするなど命に接する場面が多く、本当は生きるのがすごく難しい人間だったんです。今でもアレルゲンの値が膠原病ぐらい高いけど何の症状もないし風邪もひきません。薬膳教室の生徒さんが「先生がこうやって生きてるんだったら、私もこうやって生きれる」と思ってくれたり、みんなが明るなってくれることがみていて嬉しいです。難しく生まれたことにも意味があったんだなと思っています。
「道を間違ったと思った」
Q.夢やビジョンをもつようになったきっかけや発見は何ですか?
甲木 法律系の国家公務員として12年間働いていました。当時は勝ち負けの世界で、ある程度自分を押し殺してでも、その状況の中でうまく振る舞うことを優先していました。
ある時、体を壊しました。ハードな仕事をしていたせいか、生まれつきあった骨髄の中の固まりが広がりすごく体中が痛くなり、特に腰が痛くなっていました。そして、その腰の痛みを取るためには外科的な手術が必要で、外科的な手術をしたら車椅子の可能性が高いと宣告もされました。
また、子どもが小学校1年生になった時、父親も忙しい仕事なので家に中々いなくシッターさんはいるけど誰も頼る人がいないという状況から、子どもが心からのSOSを出してきました。
その時に道を間違ったと思いました。
どこかで考え違いをしていたというのが分かって、そこから仕事を休んで好きなことをしたり、ただお茶だけをするために外に出たり自由に時間を使ったりしました。今までそういうこともできなかったので。
その時に漢方の先生ところに行きました。外科的な手術をしなくても、体の巡りを良くして固まりが神経にあたらなければ痛くなくなるはず、と循環をよくするような漢方薬を飲み始めて、実際に三ヶ月目くらいに痛くなくなったんです。こんなこともあるのかと思い、突き詰めて漢方や薬膳の勉強を始めました。ここからが薬膳のはじまりで、最初は自分の体のために始めました。
記者 病気やお子さんのSOSをキッカケに、12年続けられてきたものを反転させられたんですね。それを反転させるのには勇気がいるしと思いますし、苦心されたり苦悩されたことがあったのではないですか。
甲木 なんで私だけって思いました。みんな楽しそうなのに何で私だけこんな目に合うんだって思いましたし、本当に悲しいなとも思いました。
でも、同時に正当な怒りと言いますか、私にも幸せになる権利があるとも思いました。そこから現実が変わるように動いたのかもしれませんね。
「地球が幸せな世界になるのを見届けたい」
Q.そのきっかけや発見には、どんな背景がありましたか?
甲木 実は私、大学や大学院では政治学を専攻していたんです。そのきっかけは、高校の時にアラファト議長がパレスチナの解放のために行っている活動に感動したからでした。今でも不思議なのですが、アラファト議長が教科書に載っている写真が光り輝いて見えて、この人の志することを共にしたいと思いました。そして、そういうことをできるような能力と立場でありたいとも願いました。仕事や社会活動に対して、情熱や意欲があるのはこういう背景があるからかもしれません。
記者 なるほど、甲木さんの人生と繋がってきますね。最後に甲木さんの人生の中で感じた一番の問題意識について教えていただけますか?
甲木 小さい頃からこの世界を動かしている仕組みに興味がありました。
すごい複雑化されてる仕組みも元を正せば誰か一人の感情のこじれだったりと、紐解ける部分がどこかあるんですよね。
今は点みたいにキラキラ光る人が世界中にいるけれど、それが線になって面になって、地球が幸せな世界になっていくのが今起こっていることだと思っていて、それを見届けて死ぬぞと思っています。
記者 甲木さんの深い魅力が伝わってきます。幼い頃から広い視野を持ち、苦悩・苦心されながら現実をつくってこられた甲木さんの姿勢態度に感銘を受けました。貴重なお話をありがとうございました!
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甲木さんの活動については、こちらから↓↓
●薬膳ハウス金木犀
【編集後記】
実際にお話を伺って、バイタリティやエネルギーなど文字では表現しきれない甲木さんの魅力を感じました。華やかさ・柔和な雰囲気をお持ちの甲木さんですが、その裏でたくさんのことを乗り超えてこられてきた方だと感じました。これからの時代に必要な方、活動だと思います。甲木さんの益々のご活躍を応援しています!
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この記事はリライズ・ニュースマガジン“美しい時代を創る人達”にも掲載されています。
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