平山夢明『無垢の祈り』の鑑賞後に書いた詩たち

2016年の10月に、私は渋谷アップリンクへ亀井享監督、平山夢明原作の『無垢の祈り』を観に行きました。これは帰りの電車のなかで思いつくままにメモ帳に書いた8つの短詩です。『無垢の祈り』のラストは顔を背けてしまうほど衝撃的でした。



「祈り」

祈りって明るいものじゃ
なかったんですね

神様なんてどこにも
いなかったんですね

泣いたって叫んだって誰も助けて
くれなかったんですね

こんなそんな世の中も死ぬまで生きるしか
なかったんですね


「家」

人間は住むために
家を建てたんじゃない
人から隠すために
こんなものつくったんだ
そして
人から見せられないために


「各駅停車」

虚ろな眼を見開いて
前をじっと見てみれば
窓に映った虚ろな眼


「無題」

白い花が咲いていました
僕が指で弾いたら
数枚花びら散りました
それでも花は咲いていました


「詰問」

この胸の痛みは
だれのせいでしょうか
自己責任なんでしょうか
なんでしょうか


「誘惑」

抜け殻になっちまえば
楽なんじゃないかね


「幸い」

ショックなものを見るたびに思う
眼が2つだけでよかったと

ショックなことを聞くたびに思う
耳が2つだけでよかったと

ショックなたびに思う
命が1つでよかったと

「逆」

動物に理性がない
なんて嘘だ
人間に理性がある
なんて嘘だ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?