見出し画像

20240630学習ノート『三つのインタナショナルの歴史』第30章-3 ソヴェトの経済と労働組合

20240630
[経済的基礎]

 11月革命のあとしばらくは、崩壊した諸工業を労働者の工業委員会で管理しようとする動きが見られたが、これはサンディカリズムの流れであり、近代工業の建設と運営には適さないものであった。1917年12月、最高(国民)経済会議が創設されると、逃亡したブルジョア技師や専門家に代わって科学的な社会主義工業経営が進み始めた。しかし、1920年までは内戦が続き、うまく進行しなかった。1921年になるとレーニンは「ソヴェト権力+電化=共産主義」というスローガンを掲げた。4月にはゴスプラン(国家計画委員会)が設立されたが、しばらくは金融、繊維、運輸などの個々の産業部門の計画に限られていた。やがて1928年になると、第一次五カ年計画が発表され、全ての地域の全ての産業において生産計画が実施されるようになった。その後、ものすごい勢いでソヴェトの産業は上昇し、資本主義発展の最盛期の業績を凌ぐ記録を打ち立てた。1933年には、ソ同盟は農業国から工業国へかわった。

1917年11月の革命から約10年間…
 農業生産は、基本的に全人民の所有に属する自作農を経営する農民を基礎としていた。コルホーズ(集団農場)もソフォーズ(国営農場)も模範農場としていくつかあっただけだった。

1929年から1930年以降…
 第一次五カ年計画で、社会主義的農場はコルホーズ(農業協同組合)の形態をとるようになる。同時期に工業も飛躍的に発展したことから農業の大規模機械化が始まり、コルホーズが大きく発展することとなった。1930年5月1日には、生産諸州の主要な耕作地域では、集団化は農民経営の40から50%に及んだ。ちなみに1928年春の時点では2から3%であった。1931年の年末ごろには、コルホーズは農民経営の80%以上に及び、20万のコルホーズと4千のソフォーズに統合された。1934年には、2万1千台のトラクターと3万2千台のコンバインがソヴェト中の農場で稼働していた。

 工業の社会主義化により、大資本家は経済上にも政治上にも一掃された。さらに、農業革命によってクラーク(富農)は絶滅した。資本主義世界を驚嘆させたこの激しい革命は、ソヴェトが成し遂げた最大の業績の一つであった。

 五カ年計画では、約2千億ルーブル(400億ドル)の資金投下を必要とした。これは、戦争で荒れ果てたソヴェトの人民の手で賄わなければならなかった。このため、第一次五カ年計画では、労働者と農民ははじめ耐乏生活をしなければならなかったが、やがて失業は完全に一掃され、大衆の生活と勤労の水準は大きく向上した。社会主義計画経済では、資本主義の呪いのような周期的恐慌や大量失業は起こり得ないのである。これは、ソヴェトの生産が資本主義の生産と違い、私的利潤ではなく社会的利潤のために行われるからである。

[ソヴェト制度における労働組合]

 社会主義国と資本主義国では、労働組合の果たす役割は別である。プロレタリア独裁における指導的階級である労働者の諸条件を良くし、この制度を成功させなければならないという責任感が、社会主義国の労働組合にはある。利潤を追求する資本主義諸国にはこの責任感はない。
 ソヴェトの労働組合は、他の諸制度と同様、多くの実際的な試みや先駆者的な仕事の結果できたものである。最初のうちは、社会主義下の労働組合がどのような機能を果たすべきかについての考えははっきりしていなかったが、労働組合は工業委員会に基礎を置くようになった。その労働組合の基本的な役割は、工業における労働規律の確立、工業経営への直接参加、生産の組織的増大と改善、新しい労働者大衆への教育と技術的訓練、向上立法の作成と実施、巨大な国際社会保険制度の直接管理、危急の際の帝国主義者の干渉を撃退するために武器を取ることなどであった。さらに、組合は、政府との団体協約によって定められる賃金等級、労働時間、一般的労働条件の検討や実施によって労働者の経済的利潤を直接監視する。また、組合は労働者の政府と密接に協同して仕事をするが、立場的には独立している。
 資本主義諸国では労働者は雇用主や政府と戦わなければならない。このためストライキが最も重要な武器となっている。しかし、ソヴェトではストライキは全く意味がない。ソヴェトでは政府が労働者によるものであり、搾取がないからである。革命初期において起きた多数のストライキは、ソヴェト制度を破壊しようとした反革命分子によるものである。1920年には43ものストライキが起きたが、そのうちに反革命分子もストライキは馬鹿げていると思うようになった。
 ソヴェトでは、労働者に対して出来高払制度が行われている。これは外国の労働組合運動会たちにとって奇妙な感情を抱かせるようだ。ソヴェトでは生産増進の成果を労働者から奪うという搾取者がいないのだから、出来高払制度は当然である。全ソ同盟労働組合中央委員会は、このように説明している。「出来高払制度は全ての労働者に労働生産性の増大と労働者自身の資質の向上に関心を持たせる。我が国における出来高払制度が資本主義諸国の出来高払制度と根本的に違っているという事実を、特に強調しておかなければならない。資本主義諸国の出来高払制度は搾取の手段である。ソ同盟では、国家は労働者の保護に最大限の注意を払っており、また一日7時間労働なのであるから、出来高払制度は、社会主義建設のテンポを早め、労働生産性を増大し、労働者の物質的および一般生活条件の改善を保障している」

 ソ同盟の産業では、「各人にはその労働に応じて」という社会主義の原則に基づき、さまざまな等級の賃金支払いが行われている。これは、ソヴェト労働者の労働意欲を高めるための精巧な制度の一部である。ソヴェトでは、あらゆる種類の教育と昇進の道が労働者に開かれている。労働者は誰でも、自分が頑張れば頑張った分だけ技術が向上し収入も増える。そして責任ある地位に就くことができるようになるのである。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?