うちの犬（１）

　うちって犬がいるんですよ。種類はなんだろう、雑種なのかなあ。私もよくわからず飼ってるんですが。ほわっとして丸っこくて、まだ小さいから耳が垂れてるんですよ。大きくなるのか小さいままなのかすらわからんのですけど。
　名前は適当につけて、その辺のゲームから。あんまり洋風なのは変だから、レン、って呼んでます。うーん、なんせオスかメスかも考えたことないですから。どっちでも通用しそうな名前ってことで。ゲームのキャラは男なんですけどね。そいつはかっこいいのに、犬のレンはモコモコしたただの丸っこい毛玉ですから格好がつきません。白地に黒のブチですよ。

　で、犬ってほら、飼い主が自堕落だとイタズラに育っちゃうじゃないですか。躾を怠ったりすると。うちもご多分に漏れず、そうなっちゃって。

　レンのやつ、私が探してるものに限って、どこかに隠しちゃうんですよ。意地が悪い奴でしょう。私が逆に犬みたいにゴミの山を掘り返して半泣きになって探さなきゃいけない。それをレンはどこかに隠れて見てるんです。あいつ、性悪だから。

　そんで、私がもうだめ、ギブ、無理です、って泣いちゃったり癇癪起こしたりすると、「しょうがねえなあ」って感じで「ぽとっ」て盗ったものを投げてよこすんですよ。それで、自分はそそくさと逃げちゃう。

　全く、性悪小犬ですよ。さっさと捕まえて、ドッグトレーナーにでも預けたいもんです。この前なんて、シャーペンを取られて探してたら、いつの間にか素足のすぐ前に尖った方を向けて転がしてやがりましたからね。
　踏んだりしたら流血モノでしたよ。危なかった。