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アルバムの肥やしメシ総供養祭

赤色点字ブロック、またの名をmaitakeです。
この記事はとあるところのアドベントカレンダー用に書いたものです。



「外でご飯を食べたら写真を撮る」がもはや恒例の現代。私もそれに追随してパシャリと撮ってはいるものの、撮ってすぐSNSにアップするのは「私は先ほどこの食べ物たちを食らいましたよ!」とアピールしてるようで恥ずかしくて嫌だ、ある程度日が開いたら投稿しようとポケットで温めそのまま忘れてしまう。そのためその写真は一度も日の目を浴びることなく、消されることも見返されることもなくアルバムの肥やしとなりぬ。

実に、実に虚しいではないか。出来立てほやほやで食材としての盛りを迎えた彼らの鮮やかに艶やかな写真はさながら遺影のよう。「なんで写真を撮ったんだ」「その気にさせやがって!」「一世一代の晴れ舞台なのに……」「思い返しもしないなら早く殺してくれ!」怨嗟と憎悪の声がiPhoneのアルバム内に響き渡る。きっと彼らは報われない。あぁ虚しい、虚しい……


ということで。


ここで一切供養します。


(以下、美味しそうな写真やそうでもない写真が並びます。お腹が空いている人や犯罪者は閲覧を推奨しません。)




アルバムの中で一番古い食べ物のパフェ。SNSすらしていない中学生が「カフェってオシャレじゃね?」って調子に乗って入った甘ったる~い記憶。ひんやりしたパフェと効きすぎた冷房のせいで終始凍えていた。


茶漬け専門店の茶漬け。インフルエンザの病み上がりでボロボロの体ながらパスポートの申請をしに行った帰りに食べた。その後コロナが流行ったためパスポートは一度も使っていない。


大阪のたこ焼き。冷めてた。


一蘭に発狂していた時期の写真。どうやらクリスマスイブにも通っていたらしい。「麺リークリスマス」とかふざけているのか。


東京で食べたオムライス。ケチャップが甘いショックで濃がバグり消滅した。このオムライスは着痩せするタイプらしくなかなかボリューミーで逆に食われているのかと思った。


何かのお祝い事で親戚一同が集まった時の御食事。何かのカルパッチョ?傘連判状みたいですね。いやそうでもないな。


りんご飴。祭りの定番と言われるものの買ったことなかったので試しに購入したが、硬すぎて歯が立たなかった。帰宅した後に刃が鈍な包丁で叩き割って食べた。あまり美味しくなかった。


塩ラーメンwith貝。貝の中に小さなカニが2匹いたことが強烈すぎて味は何も覚えていない。


京都の名物、にしんそば。骨まで食べられるほど煮たニシンがそばの中に丸々入っている。そばとニシンのシナジーは無かったが、出汁は美味しかった。


おそらくドミノのピザ。尋ねにきた旧友と夜通し映画鑑賞会をした時のお供。味は美味しく盛り上がったが、二人だと途中で冷めてしまうことと後片付けが死ぬほどめんどいこともあり、よほどのことがない限り買わないことにした。


ハッピーバースデー!なパフェ。カラオケ館のアプリに誕生日登録していると、誕生月に無料のパフェクーポンがもらえるそうだ。室内で火がばちばちいってんのファンキーすぎてウケた。アイスは溶けた。


水タコとパスタ。タコがモチモチモチしててもどかしかったモチチ。麺もモチモチモチしてたので一年分のモチモチを摂取したモチチ。


マワドナルドのポテト。なぜこの写真を撮ったのかは不明。やけに冷めてそうな印象を与える。


道後の鯛めし。隣で友人が横ピ(片目を挟むようにピースをするポーズ)の魅力を語ってた記憶しかなく、味を覚えていない。きっと美味しい。


宮島の牡蠣。焼きたての牡蠣にレモンと醤油をかけて頂いた。この後、新品のリュックに汁をこぼすことになる。


下呂温泉に行った時の御食事。お肉を味噌でグツグツと煮込んでいる。味が凝縮されておりご飯がいくらあっても足りないほどだった。ここのレストランはお冷が有料だったのを思い出した。



以上。

他にもいくつか写真はありましたが大体がラーメンで面白味にかけるので掲載しませんでした(その後アルバムから消去しました)。これで彼らも報われたことでしょう。

飯の写真を見返して、私は写真を撮るのが下手だなぁとつくづく実感した。ほとんどの食べ物が冷たそうで美味しくなさそうに思える。もっと人を引き付けるような、それこそSNSにあげるようなメシを撮るにはライティングや構図にこだわらなければならないのだろう。私にはその努力をする気が一切ないので、今後はメシ写真を撮るのは控えようと思います。私にはまだ早い。

あと、すでに食べ終わって皿だけになった写真がアルバム内にいくつか見られた。何?食べ終わった後に「やべ写真撮ってないや」と慌てて撮ったのだろうが、その写真にはまるで意味が無い。目的を見失い行為にだけ固執して現代人に追い付こうとしても無駄だ。お前にその資格はない。モンスター討伐記念に骨を持って帰るみたいな所業をするのはやめなさい。

メシ写真の大量葬送、やってみると意外に楽しいです。やはり感覚と結びついた出来事は記憶されやすいようで、写真を見返していると撮影時の思い出やエピソードがどんどん思い起こされます。グリコの走馬灯を見ているみたい。みなさんもアルバム内にご飯の写真の死骸があるのなら、埃を払うなり埃と一緒に捨てるなりしてみてください。

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