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石部金属株式会社(代表取締役:石部明克)

会社名:石部金属株式会社
住所:北海道旭川市東鷹栖東1条1丁目
代表取締役:石部明克
創業年:1961年

【会社のあゆみ】身近にあったスクラップ業

旭川市東鷹栖に本社を構える石部金属株式会社は、現在の石部代表取締役が父から会社の跡を継ぎ2代目です。「私のおじいちゃんもスクラップをやっていたこともあってこの仕事は身近な存在でした。父が建てたここ石部金属でバイト経験もあり、学校を卒業すると同時に入社し、子どものころから見慣れていた仕事だったのですぐに馴染めました」と振り返ります。当時は石炭産業が盛んだったため、炭鉱があった夕張市や三笠市には泊まり込みで作業しに行っていたとのこと。トラックに乗り、旭川市内外の現場を回る日々から、父との共同代表の経験を経て、2006年頃代表取締役に就任しました。

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【会社の現在】タイミングを読み、見計らう

広大な敷地の中に油圧ショベル5台を含む重機が多数あります。現在従業員4人、うち現場は2人で日々の仕事を回しており、現場の2人が引き取り業務などで出払ってしまったときは今でも石部さんが作業場に立つことがあります。「例えば雑線などは剥かずにそのまま出すなど、大企業に処理できても我々にできないことは無理はしないようにしています。高くものが売れるときにタイミングを読み、見計らって出荷しています」
また、石部さんは「昔は現場によっては鉄くずに混じって、”ゴミ”としてなんでも捨てられてしまうことがありました。何度も説明し、お願いしていくうちに理解され、改善されていくことは嬉しかったですね。また、自分たちは建築系ではないので何かを作り上げる仕事ではありませんが、大きな案件の仕事を計算立てて、思い通りに進んだ時に得られる達成感が何とも言えません」と仕事の苦労と達成感について話してくれました。

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【会社の展望】従業員の生活が第一

今後については「いろいろな時代の流れもあり、規模や事業の拡大を現在は狙っていないんです。ただ、この業種というのは世の中にとってなくてはならない大事な業種なので、従業員の人数が少なくても設備でカバーをしていく方針です。あとはとにかく、今働いてくれている人たちの生活をしっかり守ることが第一です。当社にできることをやり、良いタイミングで物事を判断したいと心掛けています。ただ、当社だけではないと思いますが、後継者をどうしようか?というところは考えています」と話します。

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【鉄リサイクル工業会に一言!】

「地場で頑張っている企業が多いので、地元でなにか住民の皆さんに恩返しできるようなことがしたいですね」

【取材後記】鉄リサイクル工業会北海道支部 支部長

鉄リサイクル工業会北海道支部会員企業紹介第7弾は、旭川地域の大手鉄リサイクル業の石部金属の石部社長にお話を伺いました。
本件とは関係ありませんが、石部金属で頂くコーヒーが大好きで、淹れて頂いたコーヒーを家で飲んでいます。私のコーヒーの先生でもあります。

現場を歩いてすぐ気付く事があります。それは現場がとてつもなく綺麗な事です。作業場を綺麗にされている事は商売の基本ではありますが、我々の業界では簡単には綺麗に出来ません。整理され綺麗な会社に悪い会社はないと思っています。

石部社長のお話を伺っていると、若い頃から引き取りに現場にと、良く働いて経験を積まれたのだなと想像できます。若い時の苦労体験から、体に負担が掛かる現場仕事は早い段階で機械化し効率化されていきました。
現在は現場社員2名に対し、重機が5台あります。効率を重視し、重機移動の手間を省くために作業場毎に重機を設置しています。
過去に様々な転換期があり、元々夕張や三笠の炭鉱から出てくるスクラップがメインであったそうですが、時代の流れと共に道内の炭鉱は閉鎖されてしまい、メインの仕事がなくなり会社周辺の地域にシフトしていったそうです。
2008年のリーマンショックの際も大きく影響を受けました。高値で仕入れたスクラップが売れず長い事保管されているとのこと。大きく相場に打たれて売る事が出来なかった当時の悔しさを忘れない為にも、今も大切に保管されているそうです。

また石部社長にはご子息はいらっしゃいますが会社に入社しておらず、道外で働いているそうです。後継者問題にも直面しており、将来に向けてどのような方向性を示せば良いのか迷われておりました。
私たちの仕事は、カーボンニュートラル達成や資源循環が叫ばれる昨今では大変価値のある仕事です。
しかし未だに鉄くずや鉄スクラップと呼ばれ、「ゴミ」を連想させるそのイメージがそのまま世間の業界に対するイメージとなっています。
鉄リサイクル工業会に会員企業の皆様が求めている事には、業界のイメージアップに繋がる取り組みも含まれていると思っています。我々が扱っている原料は世の中にとって必要不可欠な原料であり、それを表現した呼び方に変える事も大切だと考えています。
業界のイメージを変え、時代に合った最先端でカッコ良い仕事であるという事をブランディングしていく事が、後継者問題の解決にも繋がるかもしれません。後を継ぐ方が魅力を感じ、やりがいが持てる業界にしていきたいと強く感じました。鉄リサイクル工業会の活動に大きな宿題を与えて頂いたと思っています。
会員企業の皆さまが抱えている問題である為、今後の活動の重要なテーマとなる気づきを頂けました。

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