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株式会社十商カムイ(代表取締役会長:上野堯/代表取締役社長:田中真樹)

会社名:株式会社十商カムイ
住所:旭川市神居町共栄401-1
代表取締役会長:上野堯
創業年:1977年

株式会社十商カムイ – 北海道旭川市の産業廃棄物(産廃)・使用済み自動車買取・リサイクルは十商カムイへ (jushowkamui.com)

【会社のあゆみ】農家をやめてスクラップ屋へ

旭川市に本社を構える株式会社十商カムイは1977年で創業45年を迎え、およそ10人の従業員が働いています。創業者で現在代表取締役会長の上野さんは、「十商カムイを創業する前は農業をやっていました。乳牛を育てる酪農などをしていたのですが、新しい商売を考えたときにすでにある商売や単純に儲かりそうな商売というよりは、誰もやっていない商売をしたいと考えて鉄スクラップ回収や廃棄物処理業を始めました」と当時を振り返ってくれました。
創業当時はスクラップ回収のほかにも色々な仕事をこなし生計を立てていました。また、これまで経験がなかった自動車やスクラップの解体方法などに関しては、ノウハウを同業者に習いに行き、勉強し、身に着けました。「最初のうちは自動車を回収しても、エンジンさえ満足に解体できなかったです」と話してくれました。

【なんとかなるさ!が大当たり】全財産を投じた大手企業からの買い上げ

創業以来、早起きして早朝にスクラップを回収する日々が続きましたが、このままではダメだと思い、ある大手の会社にスクラップをもらえるように足しげく営業に通っていました。
しかし簡単にはいかず、なかなか縁がない日々が続いていたある日、その会社の担当者から「不要になった電話機や交換機を買い取ってもらうことはできるのか?」という相談をもらいました。上野さんは「正直どれくらいの値段を付けたらよいのかわからなかったですが、この話を断ってしまったらもう二度と取引のチャンスはないと思い、全財産をかき集めて買い取らせてもらいました」と話します。
実はこの買取はとても良い判断で、電話機や交換機には金メッキやパラジウムなどの希少金属が含まれているため高い価値があり、買い取った時の値段の7~8倍の値段で東京の輸出業者に売れました。全財産の200万円弱が1000万円超で売れたまさに【なんとかなるさ!】が大当たりしたエピソードです。これをきっかけに希少金属に狙いを定めていきます。

【会社の変化】元農地に産廃施設を建設、業務化

元々、上野さんが農家だったことも含め、当時周りは多くの農地に囲まれていました。ただ、時代の流れとともに周りの農家の”離農(農家をやめて別の仕事に就く)”が増えたため、周辺の土地を取得し、今から40年ほど前に産業廃棄物処理施設の許可を取得しました。
先ほどお話に出た大手の会社からは、「自社から出る廃棄物を単純なゴミとせず資源化したい」という方針・要望がありました。「廃棄物が搬入された際も、金属以外の部分、例えばコンクリート部分はクラッシャーにかけ、ガラスも破砕機にかけるなどし、今でいう”リサイクル”を可能な限りチャレンジしました」と話してくれました。

【会社の展望】親子三代で会社を引っ張る

上野さんの次女・田中真樹さんが高校卒業後、自衛隊を経て十商カムイに入社。昨年、代表取締役社長に就任しました。「これまで私がやってきた家庭を守るというということと、会社を守り経営することはとても似ていると感じています。周りにはカリスマ性もあり素晴らしい社長さんばかりですが、私は私にしかできないことをやっていきたいと考えています。とにかく社員の生活と健康を大事にしながら、地域の人たちと仲良くやっていきたいと思います」と展望を語ってくれました。
さらに昨年3月からは上野さんの孫(田中さんの息子)が入社し、現場作業・営業・経理と活躍し、まさに”親子三代”で会社を引っ張っています。
上野さんは「自分が始めた会社に後継者の娘も含め、孫も入社してくれて嬉しく思う。創業以来ずっと思い続けている環境に寄与した会社として、カムイの素晴らしい自然を守りたい。会社の社有地として木が生えている山を増やしていってほしいと考えています」と目を細めます。

【鉄リサイクル工業会に一言!】

田中さんから「安全衛生の動画を視聴できるのがとても助かります。講習を受けたいと思ってもコロナ渦でなかなか無く、本当にうれしいです」とのお言葉をいただきました。

【取材後記】鉄リサイクル工業会北海道支部 支部長

日本鉄リサイクル工業会北海道支部会員紹介第6弾は、北海道第2の都市である旭川で事業を行っている十商カムイさんの創業者・上野会長、上野会長の次女で現社長の田中社長にお話を伺いました。
取材をさせて驚いたのは大雪山が一望出来る高台にあり、何よりその土地の広さに驚かされました。
まるでリサイクルのテーマパークのようです。
上野会長のご実家は元々農業や酪農を行っており、広大な土地をお持ちで
現在の工場も元々実家の敷地でした。
上野会長も現在の商売を始められる前は農業や酪農に従事されていましたが、事業家として生きていくと決め親に内緒で飼っていた牛を全て売却し、その資金で商売をスタートされました。
商売を始めた当初は誰もやりたがらない廃品回収の仕事を朝3時半から行っていたそうですが、元々農業を行っていたので農家の方たちとの深い繋がりで農機具関係の荷物も持ち込まれるようになり、商売の形を作っていきました。

田中社長が幼い頃は会社の道路両脇に大量のスクラップが積まれており、それを横目に小学校へ通っていたそうです。スクラップ屋あるあるです。
そんなある日、雑穀関係の仕事をしていた方が市長となり商売に使用していたトラックが不要になった為、これを十商カムイが買い取りました。
そこから事業拡大を図り、インフラ系の企業も含め多くの会社さんと数年かけて商売出来るまでに成長します。
先述のとおり、ある大手の会社から全財産をつぎ込んで買取した金属の売却がその後の大きな運転資金になり、今に繋がる希少金属の価値を知るきっかけになりました。
希少金属の価値を理解されている方はたくさんいらっしゃいますが細かく選別にはとても時間がかかります。その手間を惜しまず続けられた事が他所にない大きな強みとなってます。

「今後は親子3代でこれまで築いた商売を維持し、広い敷地をフルに活用し木の生えている山を増やしたい」と上野会長。
化石燃料の使用を減らしCO2削減が急務となっていますが、木があればチャンス。木は金利以上の物になると語ってくれました。
農業から事業家へ転身し今の事業の基礎を築いた上野会長、自衛隊出身でしばらく主婦を経験された田中社長、そして田中社長のご子息は農協出身で現場・営業・経理とフル回転で活躍中です。
時代の流れの変化にも順応し親子3代で共に働く十商カムイから今後も目が離せません。




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