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株式会社有田商店(専務取締役:有田高行)

会社名:株式会社有田商店
住所:北海道釧路市入江町1番8号
代表取締役:有田 安宏
創業年:1929年(創業者:有田 峯蔵)

【会社のあゆみ】

釧路市入江町に本社を構える株式会社有田商店は、創業1929年(昭和4年)で創業93年を迎えます。創業当時は魚を入れる箱”セイカン”を製作する木工場でした。これと時を同じくして創業者が個人的にスクラップなどを集めていて、当時あった問屋さんに持ち込んでいたことから現在の鉄スクラップ業につながりました。
「実は当時、瓶の収集もやっていて、鉄屑よりも瓶の方が忙しかったみたいです。一升瓶とかですね。昔はこの場所ではなく、浪花町と中島町の2カ所に拠点があったんですけど、外に瓶がケースごとたくさん積まれていたのは小さい頃の記憶にあります。瓶の回収をしてそれを新富士駅で”貨車積み”と言って貨車に手で一本一本積んでいたらしいです。瓶に関してはその後時代背景もあって辞めたんですよ」と当時を振り返ります。
およそ40年前、現在本社がある入江町に移ってきた時、ダブリングという機械とショベルローダーしかなかったところに、シュレッダーを入れた事業を本格的に形成してきました。そんな最中、缶に引火したとみられるシュレッダー爆発がありました。幸い大事には至りませんでしたが、その時の教訓もあり「安全第一で、今でも事故には本当に気を付けてます。今後はより安全を目指すために設備導入や整備を検討しています」と話してくれました。

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【会社の礎】先代がシュレッダー、ギロチンの設備投資

現在は従業員の安全や効率化も含め、優先順位をつけながらではありますが、設備の拡充を行っていくことを目指している有田専務。「本社に400トンギロチン、星が浦営業所に1000トンギロチンとシュレッダーがありますが、先代はよく決断したなって感じます。何億円も設備にかけていて、40年前で当時2億円以上かけているのかな。本当、よくお金をかけたなと思います」と話します。
そもそも先代がシュレッダーを入れたきっかけは、廃車処理でした。「うちはどちらかというと廃車の処理が多かったんです。手作業で職人たちがやっていたのですが、”これからはそういう時代じゃない”というのが思い切ってシュレッダーを入れるきっかけになったみたいです」

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【会社の現在と展望】

「展望は難しいですね。皆さんもそうだけど事業再構築をこういう時に使っていろんな物に広げてって考えている人も多いと思うんですけれども。広げるなら同じ業界で、産廃とかそっちの方で広げるのが手っ取り早いのかなと思います。あとは受け入れるものの幅を広げるとかですね。人口も減っていくのは目に見えているので一軒当たりの取扱量を増やしていくというのがこれからの課題になってくるのかなと思います」と語ります。

また、有田専務が現在着目しているのは太陽光のパネルの廃棄です。「今言われているのはリユースですよね。輸出関係で外国からパネルが欲しいと言われます。今のところ断っているんですけど。例えば台風が来てパネルが倒れたとかは今までちょこちょこあったので。まだ先ですけどこれから取り替え時期になったら絶対出てくるので、そういう話の対応は考えないとダメかなと思っています。リサイクルはやっているところもありますけど、それよりもリユースの方になるのかなとみています」

さらに事業や回収品目の幅を広げることに関して、「今スクラップも規格が厳しくなってきているので、シュレッダー設備の選別にお金をかけて高品質なものをいれていくのが必要だと考えています。また業界全体として求人の問題があります。人手が集まらないので、若い人でも働けるような会社づくりに力を入れていきたいと思っています。ホームページなども作って少しでも雇用に力を入れていく方針です」と語ってくれました。

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「例えば、若い人でも働きやすいような職場作りから始めないとダメかなと。個人的に考えていることなんですけど、女性の活用をもっとしたいですね。そうするには休憩所やトイレなども整備する必要はありますが、男女関係なくダンプなど重機に乗ってもらえればと思っています。女性は現場への気配りとか目配りとかは得意かなと期待しており、ぜひ雇いたいと考えてます」

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【鉄リサイクル工業会に一言】

「このコロナというのもあって色々やりたいことができないというのはありますよね。でも講習会などZoomを使ってやっているんですもんね?補助金の活用とかそっちの方で聞きたいかな。今うちでIT補助金をコンサルタントに頼んでいます。以前に鉄リサイクル工業会から”こういう補助金がありますよ”という一覧が流れてきて、ああいうの助かりますね。知らない人が結構いると思いました。例えば”こういう補助金でこういうの導入しました”などの事例があれば一番良いです」

「またここ釧路は特に業界内の仲が良いので情報交換もしているんです。良い雰囲気の地域だと思います。まずは、皆さんで集まって最近飲みに行っていないから行きましょう(笑)」

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【取材後記】鉄リサイクル工業会北海道支部 支部長

釧路市で創業90年を超える老舗金属リサイクル業大手の有田商店、有田高行専務にお話を伺いました。
創業は昭和4年ですので今年で創業93年を迎え100年向けて更に発展を遂げようとしております。
有田商店の武器は設備で、全ての金属リサイクルに対応できます。切断機や破砕機は40年前に導入して、他所にない先端設備を多額の資金を投じて設備投資に踏み切ったからこそ今日の発展があります。
今後の設備投資に関しては破砕機の後工程の充実や、2030年以降大量に廃棄される予定の太陽光パネルのリユース・リサイクルの仕組みを検討し、時代を先取りする取り組みに着手する予定です。

何よりも今後は社員の働きがいや女性の活躍を推進する取り組みにも着手したいと有田専務は力強く語ってくれました。
社員に一生懸命に働いてもらう為には環境整備も重要な事です。私たちの業界の仕事は、一度使い終わった物を扱うので決して綺麗とは言えない環境です。そのような物を扱っているからこそ常に現場は綺麗な状態を保ち、扱っている物を感じさせないようにしていかなければ働きたい会社として選んでもらえません。
現代社会では性別関係なしに職業に就く事が声高に叫ばれ、女性のトラックドライバーも多く見かけるようになりました。私たちの現場で使用する大型の重機も女性の方がきめ細かに操縦出来ると思いますし、男性限定の仕事ではありません。
是非有田商店さんで積極的に女性の採用を促進して頂き、現場の重機オペレーターが女性にとってやりがい溢れ、楽しくカッコ良い仕事であることを世の中に知らしめて欲しいです。採用段階で必ず確認されるホームページの充実も検討中です。

鉄リサイクル工業会への要望として、各社が活用している補助金の導入事例等も紹介して欲しいと要望を頂きました。
現在様々な補助金があり、鉄リサイクル工業会の会員企業も補助金を活用し設備投資やITの導入なども行っております。実際の導入事例を紹介するのは大変参考になる取り組みであると思います。会員企業の事業に役立つ取り組みを行う事が団体に求められている事であると改めて感じました。
鉄リサイクル工業会北海道支部会員で釧路に集結し美味しいお魚、ザンギを頂きながら意見交換会を開催したいです!


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