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有限会社タナベ(代表取締役:田邊宏)

会社名:有限会社タナベ
住所:北海道帯広市西23条北4丁目1-2
代表取締役:田邊 宏
創業年:1964年(創業者:田邊 浩一)

https://tanabe-recycle.com/

【会社のあゆみ】

北海道帯広市に本社を構える有限会社タナベでは、金属リサイクル・廃車買取/中古車部品販売・建造物解体・産業廃棄物運搬/処理の4つの事業を軸に現在およそ60名の従業員が働いています。1964年に現代表の父・田邊浩一さんが創業し、1995年に現代表の田邊 宏さんに事業継承された際に法人となり、現在に至ります。
「当時は廃棄物処理にお金を払うということが一般的ではなくて、正直商売にならず、低迷していた時期もありました。でも、1990年代に日本でダイオキシンの問題が表面化して、きちんとお金を払って廃棄物処理をしなければいけないルールができてから、スクラップ業者として商売をすることができるようになりました」と田邊さんは当時を振り返ります。
また、【タナベなら何でも運んでくれる!】をキャッチフレーズとして、”運ばれてきたものに付加価値を付けることができるのが弊社の強み”とも語ってくれました。

【会社の課題】来年の『新卒採用』に向けて、今から変える!

「実は、人材会社の方にブラック企業だと言われました。理由は年間休日が105日以上ではないから。年間休日が少ないことがきっかけで、新卒の方が全然来なくなってしまい、至急、働き方改革をしています!」と田邊さんは話してくれました。
現在社内の平均年齢は39歳となり、中間世代も減ってきているため、若い世代を積極的に採用し、会社に活気をどんどん入れていきたいと考えているそうですが、同時にその仕組みづくりにも苦戦されているといいます。来年の採用スケジュールを考えると、今すぐに年間休日の課題を解決しなければならないといい、”1日8時間”という時間をより効率よく使える働き方も模索されているそうです。

【現在の取り組み①】2008年から毎年行っている未来のための『設備投資』

「設備を増やし、今まで手作業で行っていたことを機械にかえることで、一人ひとりの作業効率を上げることができるため、結果的に同じ人数でも生産量を大幅に増やすことができる」と田邊さんはいい、これからの人材不足に備えて毎年5000万円以上の設備投資を行っているそうです。近年ではRPF事業にも乗り出し、「地球環境を守り社会貢献に努める」という経営理念を実現する燃料を製造しているといいます。

【現在の取り組み②】お客様の"持ち込み"を増やすこと

現在世の中では原油高や人材不足が深刻化しています。そこで田邊さんは、自社運搬を減らしお客様からの持ち込みを増やすための取り組みを始めたといいます。
金属類は持ち込みをしていただけたら高く買い取りをしたり、また産業廃棄物についても今までは「溜まったから引取に来て欲しい」と依頼があって引取に行く形でしたが、「溜めずにその都度持ち込みしていただければ運搬費はかからないですよ」というご案内を積極的におこなうことにしました。その結果なんと持ち込みが30%も増え、人件費やガソリン代を削減できたそうです。今後も様々な工夫をしながら取扱量を増やすことに注力していきたいと話してくれました。

【今後の展望】僕らの仕事はもともと”SDGs”

「世の中では『SDGs』という言葉が主流となっていますが、当初から『SDGs』に貢献する事業を行っている会社なので、今後も今までと変わらず、貢献していきたい」と田邊さんはいいます。また、「これからは品質を良くしていかないと高く売れないため、生産ラインを見直し、いかに付加価値を付けられるかということを考えていきたい」と話します。

【鉄リサイクル工業会に一言!】

「これからは『もの』が減ってくる時代なので、なかなか1社だけで『量』を確保することが難しくなると思っています。ですので、今までのように1社だけで出荷をするのではなく、共同出荷などの方法を模索しながら、他社と協力してできる仕組みが作れたら良いと思っています!」

【取材後記】鉄リサイクル工業会北海道支部 支部長

鉄リサイクル工業会北海道支部会員紹介第10弾は帯広で事業を行う有限会社タナベの田邊社長にお話を伺いました。
タナベはビンの回収業からスタートし、古紙回収を経て開始3年目から金属スクラップ事業を手掛けるようになりました。今では自動車リサイクル、廃棄物の中間処理、RPF製造、建物解体と事業の多角化を行っております。
毎年5,000万円の設備投資を継続しており、破砕機、切断機など様々な設備を保有してます。
事業多角化・積極的な設備投資の背景には、お客様にタナベに頼めば全て対応が出来ると思っていただき、扱っている原料に最大限付加価値をつけることが重要と考えているから、と語ってくれました。
北海道独特の風習ですが、雪が降らない時期に荷物を最大限集め蓄積し、冬場の雪が降り物量が減少するタイミングで処理を進めます。タナベさんでも、社員が冬場に手持ち無沙汰にならず夏の売上を冬も維持するために調整し、今では冬の方が売り上げが高い月があるそうです。

特徴的な取り組みは、いかにしてお客様が直接タナベに持って行きたくなるかを徹底的に追及しているところです。
金属を持ち込んで頂ければ買取価格を高く設定し、廃棄物を持ち込んで頂ければ運搬費はかからず処分できます、というご案内を積極的にしているそうです。値段以外の部分でも、事務所受付には元気よく挨拶してくれる若手の女性がお出迎えしてくれ丁寧な対応も教育されております。
特に社長がこだわったのはお客様専用のトイレ。男女別でとても綺麗でインパクトのあるトイレが入口すぐの場所に新設され、誰でも気兼ねなく利用出来るそうです。細かいところまで気が配られている点は大いに参考になりました。

今後の方針としては、扱っている荷物の付加価値向上と若手職員の採用・教育に力を入れていくと力強く語ってくれました。
付加価値向上には分別が必要不可欠。更なる設備投資、事前の選別を強化する予定とのことです。
若手採用については、多くの企業と同じように年間休日を平均並みの120日以上に引き上げないと、会社を選択肢に入れてもらえません。土曜日出勤が必要な業界なだけに工夫が必要です。現状でも平均年齢が39歳と若いですが、次世代のリーダー育成と更なる若返りが急務であると語ってくれました。

鉄リサイクル工業会に対しては、物が減少していく時代に1社単位での出荷では限界があり、北海道としての共同出荷も検討して欲しいと要望を頂きました。

趣味は”オヤジギャグ”という明るい田邊社長。間仕切りもなく誰が来てもどんな話をしていてもその場にいる職員が内容を聞けるようにしている、風通しの良さがある温かいアットホームな社内の空気を感じました。
今後も時代の流れに従い資源循環を推進していくタナベから目が離せません。


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