お客さまの期待を超える支援こそが、カスタマーサクセスの真価|私たちの職務経歴書 ~ 井上雄介
こんにちは!マネーフォワードビジネスカンパニー採用広報の久住です。
「私たちの職務経歴書」シリーズでは、面接の場でみなさんとお会いする社員のこれまでの経歴、マネーフォワードになぜ入社したか、いまの仕事ややりがいなどをお伝えしています。
今回紹介するのは、カスタマーリレーション本部 副本部長の井上雄介(いのうえゆうすけ)さんです。
「経理財務領域のカスタマーサクセス」を担うカスタマーリレーション本部に所属する井上さんに、マネーフォワードで働く魅力ややりがい、大事にしているマインドなどを伺いました。
これまでの経歴
SaaSとの出会い、カスタマーサクセスへの道
――まずはこれまでの経歴について教えてください。
新卒のときはインフラに関わる仕事をしたいと思い、社会インフラ事業を手掛ける大手電機メーカーに入社しました。
そこでは鉄道部門の営業を担当していました。営業職ははじめこそうまくできているか不安でしたが、二年目ぐらいからお客さまや社内の関係性をうまくつくれるようになり、向いてるかもしれないと思いはじめました。
とくにお客さまと関係を築いて製品を使ってもらうこと、ポストセールスにやりがいを感じていましたね。
ーーこれまで営業職をメインにキャリアを積まれてきたようですが、ご自身に合っていたんですね。その後はどんな道を歩まれたのでしょうか?
その後、ITベンチャーを経て、2016年に外資系ソフトウェアベンダーに転職しました。
当時は企業でクラウドサービスが徐々に導入されはじめた時期でした。私自身もクラウドに興味を持っていたときに、クラウド型ERPを手掛ける外資系ソフトウェアベンダーからスカウトメールをもらったんです。
ERPのことは詳しくなかったですが、クラウドの企業向けアプリケーションにたずさわるのはすごく面白そうだなと思って転職しました。
この会社での経験がのちにカスタマーサクセスへの道につながり、いまの仕事のモチベーションの原点になっていると思います。
――その会社ではどのようなお仕事をされていたのでしょうか?
売上高1,000億円以下の製造業をターゲットにクラウド型ERPの営業担当をしていました。
当時はクラウドサービスといえばグループウェアやファイルストレージといったシステムが主流で、会計や人事などの経営の根幹に関わる基幹情報を外部サーバーに預けるなんて考えられないという企業が大半でした。なのでクラウド型ERPは全く売れず、売上の主軸はオンプレミス型のライセンス販売でした。
自分でアカウントプランやテリトリープランを考えたり、いまで言う『The Model』型の組織運営であるマーケ、インサイドセールス、フィールドセールスの分業を経験したりと、いま振り返るととても貴重な経験ができました。
一方で、ライセンス型ビジネスでは、製品販売時の売上が収益の主軸なのでどうしても売り切り型のビジネスになりがちです。
その会社では売ったあとのお客さま支援はパートナー企業におまかせして営業部隊はほとんど気にしていなかったし、売上予算があるので気にする余裕もないという状況でした。
ーー営業としては予算達成がゴールになっていたんですね。
「導入してからがお客さまにとってのスタートなのに、導入後にどんな効果があったかも把握しないなんて、このシステムは今後よくなっていくのかな?」と、私には強い違和感がありました。
前任者からの引き継ぎで既存顧客のもとを訪ねたとき、「おたくの会社はお金の話をするときしか来ないな」といわれたこともありましたね。
こういう経験を経て気付いたことが、自分はポストセールスに興味があるということ。一社目のとき、新規契約してくれたお客さまに対して継続的にポストセールスをして、関係値を深めて仕事を進めていくことに楽しさを感じていました。いま思うとこれが原体験になっていたんだと思います。
SaaSビジネスをやるのであれば、なおさら「売った後」のコミュニケーションを大事にしなければ成立しないとも感じましたね。
ーーいまでいうカスタマーサクセスが担う役割ですね。
当時はまだ『The Model』の概念が日本には浸透していなくて、カスタマーサクセスという考え方も普及していませんでした。
それと同時に、私自身としても、営業経験しかなくお客さまと対等に話せる業務知見がないことを課題に感じていました。
そこでまずは業務知見を鍛えることにしました。「導入コンサルティング」というロールがやりたいことに近いと考え、コンサル会社で経験・スキルを積みました。
マネーフォワードに入社した理由
――2021年にマネーフォワードに入社されました。きっかけは?
知人がマネーフォワードで働いていて、声をかけてもらいました。
もともと「マネーフォワード クラウドは個人・中小企業向け」という印象が強かったので、これまでエンタープライズ企業向けの営業やコンサル業務にたずさわってきた自分は活躍できる余地があまりなさそうだなと思っていたんです。
ところが、マネーフォワードが中堅企業以上にもプロダクトを拡充していくと聞き、自分の経験が活かせるんじゃないかと思いました。
また、世の中的にもSaaSビジネスが主流になり、カスタマーサクセスも浸透してきている。その領域でのチャレンジができそうだと思い入社を決めました。
ーー入社後からカスタマーサクセスを担当されていたんですか?
入社当時はカスタマーサクセスの募集枠が埋まっていたため、プリセールスとして入社しました。
プリセールスでは、提案を具体化し、お客さまに導入後のイメージを持ってもらう必要があるため、カスタマーサクセスの理解が欠かせません。これまでの営業やコンサルの経験を活かしながら、カスタマーサクセスにも貢献できると思いました。
現在は、経理財務領域のカスタマーサクセス組織が統合された「カスタマーリレーション本部」に所属しており、私はマネージャーとしてカスタマーサクセス全体をマネジメントしています。
――マネーフォワードに入社して感じた印象を教えてください。
入社してまず「こんなにいい人たちがいていいのだろうか」とほんとに驚きました(笑)。
新しく入社したメンバーに対して全員がウェルカム。親切な人が揃いに揃っているので、最初は何か裏があるのかと思ってしまったくらいで(笑)。メンバーの協力的な姿勢を見て「自分もそうありたい」と思いましたね。
マネーフォワードのカルチャーにもある「リスペクト」が社員に根付いているので、人間関係のストレスを感じることが少ないです。
例えば、部署間を超えた社内調整でもすごくスムーズなことが多いですね。お互いの利害しか考えないやりとりになることが滅多にないので、建設的な議論ができます。一方、デメリットとしては意見と意見がぶつかり合うような白熱した議論や尖った意見が出にくいので、マネジメントとしては工夫が必要だと感じるところではありますね。
もう一つ驚いたのは、開発のメンバーもお客さま視点であること。これまでの経験上、開発担当者って自社都合のリソースや技術の観点から意見を述べる印象があったのですが、マネーフォワードでは開発担当者も「ユーザーフォーカス」が当たり前です。
直接お客さまに会いに行き、声を聞いて、プロダクトを改善していく。それでプロダクトがスピーディーに変わっていくのがとても新鮮でした。
――そのほか、マネーフォワードならではだと感じる文化はありますか?
経営層との距離が近いところですね。代表の辻さんもこんなに近くに感じられるとは思っていませんでした。毎週月曜日に全社の朝会があり、経営層から各本部の進捗、注目すべき取り組みの状況、またインシデント発生時はその状況まで共有されます。
事業や組織の戦略方針についても、細かく情報共有されるので納得感が得やすいですね。
カスタマーリレーション本部について
業務内容
――カスタマーリレーション本部の業務内容について教えてください。
カスタマーリレーション本部は、中堅企業以上向けの経理財務プロダクトのカスタマーサクセスを担当しています。
カスタマーサクセスに必要な「オンボーディング」「アダプション」「エクスパンション」の3つの領域ごとにチームが分かれており、私は「アダプション」「エクスパンション」のチームをマネジメントしています。
お客さまが本格的にプロダクトを使い始めてから、より活用していただくための支援を行っています。
――働いていて印象に残っている出来事はありますか?
2022年頃ですが、プリセールスのとき、『マネーフォワード クラウド』の導入を決めたお客さまにいっていただいた言葉が印象に残っています。
この言葉をいただいたときは大きな責任を感じました。そういってもらったからには期待に応えようと思いましたし、開発チームともこういうお客さまの機能要望も大事にしようと結束しました。
当時のプロダクトでできることだけで判断されたら契約には至らなかったと思います。でも、SaaSに大きく期待をしてもらっている。それもまさにカスタマーサクセスによって付加価値をつけられる部分だと思いましたね。
課題と展望
――現在、カスタマーリレーション本部ではどのような組織を目指していますか?
いま、組織の仕組みとマインドセットを変える過渡期にあります。
一年ほど前に、あるお客さまから「あなたたちがやっているのはカスタマーサクセスではない」という厳しい指摘をいただきました。導入支援の一部で、お客さまの問い合わせに回答するだけになってしまっていた案件があったんですね。
それはカスタマーサクセスでなくてもできること。これをきっかけに、カスタマーサクセスの介在価値を改めて考え直しました。
カスタマーサクセスの介在価値は、お客さまに何か問題が起こる前に、こちらが予見して解決策を提案することです。もちろん、お客さまからの問合せに回答することも大事な仕事ですが、お客さまの期待を超える支援をしないとカスタマーサクセスがいる意味はないと考えたんです。
そこで現在のカスタマーリレーション本部では、プロアクティブ型でのお客さまの課題解決を目指し、そのための仕組みとマインドの構築を進めているところです。
オンボーディングやアダプションだけでなく、解決策の中にはクロスセルやアップセルといったエクスパンションも一つの手段です。またセミナーに参加して新しい機能を知っていただくことも、課題解決の一つの手段だと考えています。
お客さまの状態に合わせて適切に解決策を提案できるチームにしたいですね。
――そういった「プロアクティブ型」の支援を実現するために、現在どういった仕組みを構築していますか?
こちらから能動的に提案するためには、お客さまがどのような状態かを把握していることが必要です。
例えば、われわれが最も防がなくてはいけないものは解約リスクですが、解約予測が十分でなかったことが課題でした。ヘルススコアを測定してはいましたが、解約の兆候となる数値の定義が弱かった。財務会計システムはスイッチングコストが高いため解約率はそこまで高くありません。だからこそ後手に回っていたのです。
そこで外部の専門家にも加わっていただいて改めてカスタマージャーニーマップを見直し、プロダクトのどのスコアがどういう状態であればお客さまが課題を感じているのかを再定義しました。また、ハイタッチ型で支援しているお客さまとは定期的なミーティングをセットして、対面でお客さまの状態をヒアリングしています。
こうしてお客さまの状態を正しく把握する仕組みを整えています。まだまだ完成してはいなくて、いまはどのような状態のお客さまにどんな提案をするべきかの「型」をつくっている最中ですね。
仕組みづくりはまだ始まったばかりですが、事例をためてナレッジ化するなど徐々に完成形に近づくよう進めています。
こんな人と一緒に働きたい!
――井上さんが働くうえで大事にしていることは何ですか?
大きく3つあります。
一つは「目的志向」です。何をやるにも何のためにやるのか、目的を明確にしておくと、達成したかどうか振り返りしやすい。なので、課題や背景を突き詰めて考えることにこだわっています。コンサル時代もお客さまに「なぜやるべきなのか」というWHYを示したうえで提案することが求められていたので、いまでも大事にしていますね。
この目的志向はマネジメントの立場としても意識しています。メンバーに「こうしてほしい」という方針を伝えるとき、目的も必ず話すようにしています。一緒にマネジメントをしているリーダーたちにも「なぜやるのかをメンバーに伝えたほうがいい」と話しています。
二つ目は「自発性」です。これは私自身がマイクロマネジメントをするのものされるのも好きではないのが理由です(笑)。自分から「何をすべきか」「なぜするのか」を考えて動ければ、細かい指示を受けなくても仕事は進みます。仕事で誰かに相談する時も「どうしたらいいですか?」ではなく「自分はこうしたいんですけどどう思いますか?」というコミュニケーションが取れる人は成長が早いと思っています。頭の中で仮説をつくって仕事をするということなので、仮説思考ともいえますね。
三つ目は、自分自身の「市場価値」。私自身が何度か転職を経験していることもあり、一つの会社で出世するためだけの成長にはあまり意味がないと思っています。もし転職するとしても、第三者に自信をもって「こういう結果を残しました」といえる成長が大事。いまの会社に閉じたキャリア志向はもったいないなという考えです。
――カスタマーリレーション本部で働く魅力にはどんなものがありますか?
マネーフォワードは大きい会社で、事業も組織も安定していると思われるかもしれませんが、まだ成長の真っ只中にあります。
カスタマーリレーション本部の環境もまだまだ整っていないので、ベンチャーのようにゼロから仕組みやオペレーションをつくる機会が非常に多い。むしろ過去から続く負のオペレーションを改善するためにマイナスからスタートする場合もあります。
なので、多様な経験を積みたい方や、裁量を持って自走したい方は大いに活躍できる環境だと思います。
また、マネーフォワードはSaaS業界の中堅領域でトップランナーといえるポジションにあるので、そこでキャリアを築く魅力もありますね。中でもプロダクト数が多いため、その分カスタマーサクセスの難易度も高い。プロダクトの組み合わせによって提案できる活用法は無限です。
だからこそ、マルチプロダクトのカスタマーサクセスをゼロからつくる経験は非常に楽しくやりがいがあります。
さらに、カスタマーリレーション本部のなかでも多様なキャリアを描けることも魅力です。カスタマーサクセスの中でもチームが細分化されているので、オンボーディングやクロスセル・アップセルといった一つ一つの業務を深く学ぶことができるでしょう。
――どんな方に仲間になっていただきたいですか?
「ユーザーフォーカス」をはじめとしたマネーフォワードのMVVCに共感してもらえる方。そのうえで、「こういうカスタマーサクセスを実現したい」というWillが強く、自走力や判断力が備わった方だと活躍できそうです。会計に関する知識はあると望ましいですが、厳格な要件ではありません。
また、変化の激しい外部環境に対応するために組織変更も頻繁にあるので、変化への適応力は大事ですね。変化に戸惑っているとスタートが遅れてしまうので、柔軟に適応したり、変化をポジティブに受け入れる力が必要だと思います。
――マネーフォワードに興味を持っている方にメッセージをお願いします!
マネーフォワードは自発性を大事に、メンバー同士のリスペクトがある文化です。「こういうことにチャレンジしたい」という想いを叶えられる環境が整っています。なので、何かしら思いを持っている方にはぜひ飛び込んできてほしいなと思います。
また、会計領域のSaaSはまさにいま盛り上がってるマーケットでもあります。この成長の勢いの中で、いましか得られない経験もあるはず。このタイミングでマネーフォワードへという選択肢もぜひ検討してもらえたらうれしいです。
ーー最後に、井上さんのプライベートについても教えてください!
小学一年生になった娘がミニバスをはじめて、最近は一緒にバスケの練習をしています。
私自身がずっとバスケをやっていたこともあり、娘が保育園の頃から一緒にプロバスケットボールの試合を観に行ったりしていた影響だと思います。
保育園のときは将来の夢がスイーツ屋さんだったのですが、いまはバスケの日本代表といってますね。夏休みの学童にも『スラムダンク』の漫画を持って行っていました(笑)。
編集後記
今回のインタビューを通じて印象的だったのは、井上さんがカスタマーサクセスという仕事に大きなモチベーション、責任感、やりがいを感じていることです。井上さんのもとで共に働くと、カスタマーサクセスという仕事にもっとプライドを持ち、さらに楽しくなりそう!というワクワク感を感じました。
また、お客さまからいただいた言葉の数々を原動力にされている点も印象的でした。とくに厳しい指摘を受けたとき、それがたとえ一人のお客さまの指摘だったとしても真正面から向き合い、深く咀嚼し、次のアクションにつなげている様子は、「お客さまの役に立つため」という強い責任感から来るものだと感銘を受けました。
そんな井上さんが副本部長をつとめるカスタマーリレーション本部ではともに働く仲間を募集中です。ご興味のある方は、下記フォームよりお申し込みください!