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バザーやイベントの出店を委託する際のオススメは「社会福祉法人」

バザーなどのイベントにおいて、PTA会員の保護者のお手伝い負荷を下げつつ、イベントの満足度を維持したい場合、出店の外部委託を検討してみるのも手です。

(飲食販売を外部委託する際のチェックポイントは「学校・園のお祭りやバザーで食品製造・販売を業者に委託する際の注意ポイント」で解説しました)

そのうえで、選定した業者について、PTAの会員などから「業者から役員にキャッシュバックがあるのかしら」とか「利益供与なんじゃないの」などというあらぬ疑いを避けるため、より公共性・社会性の高い法人で、できれば行政の主催するイベントにも出店歴があるところだと説明がスムーズかと思います。

今回は、「教育的イベント」にふさわしい委託先として「社会福祉法人」をご紹介したいと思います。

社会福祉法人とは

社会福祉法人とは、「社会福祉事業を行うことを目的として、この法律の定めるところにより設立された法人」と社会福祉法で定義されています。

一般に想像しやすいところでは、特別養護老人ホームや障害者支援施設などで、設立には、所轄庁による認可が必要な法人です。

そして、すべての社会福祉法人は、「地域における公益的な取り組みをすべし」という責務があるとされています。

地域における公益的な取組とは
 すべての社会福祉法人は、その高い公益性にかんがみ、「社会福祉事業及び第26条第1項に規定する公益事業を行うに当たっては、日常生活又は社会生活上の支援を必要とする者に対して、無料又は低額な料金で、福祉サービスを積極的に提供するよう努めなければならない」という責務が課されており、地域の福祉ニーズ等を踏まえつつ、法人の自主性、創意工夫による多様な地域貢献活動が行われています。(社会福祉法第24条第2項)
厚生労働省:「地域における公益的な取組」より

学校や園のバザーが公益性が高いとみなされるかどうかは、そのイベント内容や社会福祉法人の総合的な判断によるかもしれませんが、このような法人の存在があるということをまずはおさえておきましょう。

就労支援事業としてバザーなどに出店してくれる「社会福祉法人」がある

そして障害者支援施設では、当事者の方の就労支援事業として、学校や園のお祭り・バザーなどのイベントに出店してくれるケースがあります。

「○○市 社会福祉法人 イベント出店」
「○○市 社会福祉法人 バザー 出店」
「○○市 社会福祉法人 パン販売」などで検索してみましょう。

「行政お墨付き」で反対層を説得

所轄庁による認可で設立された、公益性の高い活動をする法人ですから、行政主催のイベントに出店することもよくあります。
その場合行政のお墨付き・実績があるという点で「お上に逆らわない」層を説得しやすいです。

パンなどの販売の際も、行政主催ののいわゆる「ちゃんとしたイベント」への出店経験がある法人だと、行政のきめ細かな指導により、成分表示などの必要な対策もきちんとされていることが多く、話が早いというメリットもあります。
関連記事:学校・園のお祭りやバザーで食品製造・販売を業者に委託する際の注意ポイント

「教育機関」のサポート団体として、協同にふさわしい相手を選ぼう

普段の「学校・園や塾・習い事」と「家」の往復の暮らしのなかで、多くのの生徒たちやその保護者は「社会福祉が必要な当事者(の大人)」との接点はあまりないでしょう。
しかしこういうイベントをきっかけにたとえば「この地域で障害のある人はこんな仕事をしているんだ」「当事者はこんなことに困ることがあるのか…」などと、地域の子どもや保護者が知ることは大変に「教育的」ではないでしょうか。

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地域のよりよい商品・サービス作りに関われる醍醐味

たとえばパンを仕入れたり、パン販売を委託する場合。
大量生産で作られたパンは、安価かもしれませんが、メーカーとお客は「あなた作る人、わたし消費する人」という関係でしかありません。

また、保護者を強制的に動員してパンを販売する場合。
「お手伝いのせいで、子どもとイベントを楽しむ時間がないじゃない!」と文句を言われるリスクがあります。

しかし、地域の社会福祉法人が作ったパンを、彼らがイベントに来て出店してもらえた場合は、保護者は子どもと一緒にイベントを楽しむ時間が増えますし、「こうしたらもっと売れると思いました」「来年来てくれるなら、ここがこうだったら嬉しいです」など、保護者や教員に要望や気づいた点を<前向きな>意見として集約して伝えることができます。

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そうすることで、その法人の今後の商品開発やサービスの参考・改善のきっかけになる=ほかの学校や園でも取引が生まれる可能性が高くなる=当事者が地域に繋がっていけるきっかけが増える、かもしれません。

地域の誰かをよりサポートできる可能性を秘めているということは、大量生産のパンを保護者がイヤイヤ販売するというスキームにはない「教育的な」魅力です。

「お金を使う」ということは、「お金を払う相手の生き方を選んで投票する」という行為でもあります。その行為に自覚的になるにはとてもいいきっかけではないでしょうか。

というわけで、行政が主催・共催しているようなイベントで出店しているのはどこの法人・団体なのか、日ごろから広報誌などでイベント開催情報をチェックしてみましょう。可能なら足を運んで、実際にお客さん目線で利用してみると安心です。

人気の社会福祉法人さんに「ぜひ!」と言ってもらえるように

地域や学校・園によっては、すでに社会福祉法人に来てもらって出店するということが一般的なところもあります。
そうすると日程がかぶったり、先方都合が悪かったり、前年度の担当者の対応がまずかったりすることで、「お断り」されることも当然ありえます。

社会福祉法人は「保護者がやりたくないこと」をやってくれる人たち、ではありません。

早めに打診することはもちろんですが、「前年度の担当者の対応がまずいがゆえに断られる」ということがないように、配慮しましょう。
たとえば気持ちよく出店してもらえるよう、また無用なトラブルのないよう、事前に合意事項をきちんと書面に起こしたり、当日の混雑を緩和できるよう導線を工夫するなど、相手の立場に立った配慮をきちんとしておくと気持ちよくやり取りができるでしょう。

ある社会福祉法人に打診、出店実現までの流れ

筆者が、PTA主催のイベントにある社会福祉法人に出張販売を打診して決定するまでの流れを共有してみたいと思います。

1.行政がかかわる地域の子どもやママ向けイベント(バザー、お祭りなど)を広報誌などでチェック。
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2.実際にイベントに足を運び、出店をしている中からよさげな社会福祉法人をチェック(できる限り利用してみる)
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3.イベントで知った法人名から、サイトを検索、どのような法人かを調べて、他の行政主催イベントでも出店しているかなどを確認
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4.該当の法人にまだ検討段階であることを伝えつつ、学校・園のあるエリア、来てほしいイベントの日程と、予想来場者数(商品販売の場合は予想発注数)を伝え、当日の出張販売対応可能かを電話で確認
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5.4で問題なければ、出店店舗の候補として役員内で共有・検討
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6.学校・園側に打診(説得の材料は下記を参考に)

学校側への説得の例
<前提>
保護者のお手伝いの負荷について不満が来ている状況を改善したい

<説得例>
①保護者の負荷減により、<子どもたちの笑顔のために>保護者と子どもが一緒に過ごせる時間が増える
②地域の社会福祉法人が公益のためにやっている活動なので、他の保護者から「利益供与」などと言われにくい
③所轄庁による認可が必要な法人であり、行政イベントでの出店実績もあるので品質は問題ない(はず)
④地域活動を知るきっかけとなるのは大いに「教育的」
⑤当事者や支援者のやりがい、収益につながる

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6.該当の法人の事務所に複数の役員で訪問し、最初に、販売に必要な免許を見せてもらう。
その後販売する商品の確認や、卸値・販売価格、販売方法、搬入時間、キャンセル条件、来ていただく障害者の方にどのような配慮が必要かなどを確認
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7.販売条件を書面にし、役員合意が取れたものを学校にもチェックしてもらい、法人に送付
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8.各商品の前売りの予約を取り、最低販売個数として法人にお伝え
 ↓
9.当日販売、支払

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「手伝いたくない」という人にお店をやってもらうより、大義があり、快く引き受けてくださる人たちにやってもらったほうが、精神的にも岡野の流れ的にも健全です。

よかったらご検討ください。

※「そもそも外部に委託するなんて!」と反対されたときは 記事“「PTAイベントでの出店を外部委託するなんて…」と反対されるときのカウンタートーク7つ”をご覧ください。

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サムネイル写真:あけびさんによる写真ACからの写真
バザー写真:babel's artworksさんによる写真ACからの写真
パン写真:ナナヒトウイングさんによる写真ACからの写真

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