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平和

鳥の囀りがこだまする昼下がりの公園。どこにでもある光景だが、ひとつだけ目に止まる石碑があった—。

長崎県長崎市にある爆心地公園。
約76年前の1945年8月9日午前11時02分、原子爆弾が投下された地だ。

付近は住宅街で、この地に原爆が落とされたとは思えない。しかし、当時は紛れもなく何もない焼け野原だった。復興に携わった方々の努力の結晶だろう。

近くには、原爆資料館がある。被害を受けたキリスト教の石碑や、学生が持っていたお弁当箱などが展示されていた。全て焼け焦げた状態である。

原爆投下の是非について、こんな意見がある。

原爆投下は、戦争を終わらせるための最善な選択であった。

もし日本に原爆が投下されていなかったら、戦争は長引き、さらに多くの死者を出していたのかもしれない。

原爆投下は正解だったのだろうか。


いや、そうではない。戦争をすること自体が、敗者の選択である。
戦争は、誰もが自らの「正義」に向かって戦う。

その正義は、誰から見ても「正義」だろうか。

私たちは、平和な世界に住んでいる。普段から平和について考えることは少ない。

だが、世界のどこかでは、戦争が続いている。日本でも、数十年前は、戦火の最中にあった。

たまには、忙しない現代社会から離れて、ゆっくりと平和について考えてみようと思う。


爆心地公園から少し離れた平和公園では、黒猫が欠伸をしていた—。