【宿題は誰がために】
1.宿題は好き?嫌い?
今回は、宿題について書きたいと思います。
突然ですが、質問です。読者の皆さんは、宿題が好きでしたか?
・・・。宿題が好きで好きでたまらない!という人は少数派だと思います。
宿題の量や出し方は、学校や先生によりけり、だと思いますが、中にはとても膨大な量の宿題を出す先生もいます。
また、塾に通っている人は学校の宿題だけでなく、塾からも宿題が出されることも。
学校や塾の先生が宿題を出すのだから、きっと宿題をやることで成績が上がるに違いない・・・というよりも、むしろそうであるべき!
せっかく頑張って宿題をしているのに、成績が伸びないのなら、宿題をやっている意味がないです。
2.宿題は成績を伸ばすのか?
では、本当に宿題は成績を伸ばすのでしょうか。
宿題に関する主張1
宿題をやっている子は成績がいい。だから、宿題は成績を伸ばす。
確かに、宿題をやっている子は、成績も良い気がします。ですが、その子の成績が良いのは、本当に宿題のおかげなのでしょうか。
もしかしたら、宿題以外の何らかの理由で、元々成績が良く、その子が宿題をやっているのを見てそのように判断している可能性も否定できません。
宿題と成績に関しては、相関関係があったとしても、因果関係は認められないかもしれません。
宿題に関する主張2
自分自身が宿題をやったら成績が伸びた。だから、宿題は成績を伸ばす。
自分が体験したことがほかの人にも当てはまるとは限りません。ですが、教育関係の人の中には、このように考える人も少なからず存在すると思います。
自分が学生時代に体験した良いことをそのまま生徒に伝えたい、という気持ちは理解できなくはないです。
ですが、その生徒は決して自分ではありません。
宿題によって成績が伸びたのは、そのやり方が自分にたまたま合っていただけで、他の人にも同じことが通用するとは言い切れません。
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主張1、主張2に対する私の考えはこのようなものです。宿題によって成績が伸びるわけではないと考えています。では、宿題は不要なのでしょうか。
3.宿題は不要か?
ここで、宿題がなかった場合について考えてみましょう。宿題を出すことを校則で禁止した学校があると思ってください。
仮に宿題が出なかったとしても、学ぶべき内容がなくなったわけではないので、勉強しなければいけないことには変わりありません。
もし、読者の皆さんがこの学校の生徒だったら、宿題に替わる別の勉強に自分で取り組みますか?それとも、宿題がなければ自分で勉強はしませんか。
勉強する意義を理解していて、自身の学習をコントロールできる生徒であれば、自分で何をすべきかを分析して、課題を克服しようとするでしょう。
しかし、勉強の意欲がない生徒は、進んで宿題に取り組む可能性は低いように感じます。
もしくは、自分で勉強しようと思っても、何をすればよいかわからない。
いきなり宿題を無しにされても、これまで先生が出した宿題を言われるがままに取り組んできた生徒なら、十分考えられることです。
勉強のやる気がある生徒は、ますます成長していく一方、勉強が苦手、嫌いという生徒は、置いていかれる。学力格差の拡大につながってしまうかもしれません。
4.理想の宿題
では、どのような宿題を出せば(場合によっては宿題を出さないで)、全ての生徒の学力を伸ばせるのか。
私は、難易度別の宿題を何種類か用意し、それらを生徒の理解度に合わせて宿題を出せばよいのでは、と考えています。
これまでの学校では、全ての生徒が同じ宿題に取り組むことが一般的だったと思います。
ですが、1クラス40人の全てが同じ宿題に取り組むことは、合理的だとは思えません。
宿題が簡単だと感じる生徒もいれば、難しいと感じる生徒もいます。
そのため、難易度別の宿題をいくつか用意して、生徒ごとに宿題の内容を個別化する。このような方法が考えられます。
ですが、まだ問題があります。生徒の理解度はどうやって判別するのか。数種類の宿題を用意するといっても、せいぜい3パターンが限界・・・。そんな声が聞こえてきそうな気がします。
40人の生徒に対して40通りの宿題を用意することが理想です。人間の力でそれを実現させるのは現実的ではありません。
「人間の力で」と強調しましたが、勘の良い人なら何を言いたいかわかるはず。AIの力を借りるという方法があります。
AIなら、多くの生徒の理解度を判別することが可能ですし、豊富なデータベースから、最適な宿題を選定することもできます。
一応、私の考え(というか理想論)はこんな感じです。しかし、まだまだ課題は残っているように感じます。
例えば、
・AIの問題選定の精度はどれくらい良いのか
・理解度は、シンプルなテストで計測できるものなのか
といった疑問があります。
ひとまず、明確な意味もなく、一律に大量の宿題を出すやり方からは脱却したほうが良いように感じています。
宿題を出さなくても、生徒が進んで適切な勉強をできることが最終的な理想です。