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ノートかワークシートか

ノートとワークシートの特徴

学校の授業では,ノートやワークシートを使うことが多くあります。それぞれどのような特徴があるのでしょうか。

ワークシートは,予め教師側が問題や図を印刷し,それに従って授業を進めるプリントです。生徒は,自分で書かなければならない量が減るというメリットがあります。

一方で,ノートは真っ白な状態から自分ですべて書かなければならないので,自由度は広がりますが,図を写すなど作業量が増えるという特徴があります。

書かないと記憶に残らないのか

ノートのほうが手を動かす量が増えるため,覚えやすいのではないか,ワークシートを使うことによって書く力が伸びないのではないかという意見を耳にしました。

実際,ワークシートを使用すれば,ノートに比べ生徒が書かなければならない量は減ります。

しかし,
手を動かす=記憶に定着しやすい 
ノートを書く=書く力が伸びる
は正しいのでしょうか。

読書の皆さんは,学生時代のノートに書いた内容を覚えているのでしょうか。
教科書に出てくる用語を覚えているとしても,その用語をノートのどのあたりに書いたのか,何色の文字で書いたのか,その周辺には何が書いていたのか,写真のように記憶している人は少ないのではないかと思います。

それよりも,先生のどうでも良い雑談であったり,授業中に見た印象的な映像や体験を覚えている方が多いのではないかと考えています。

あくまでも個人的な意見ですが,記憶の定着は,書くことだけでなく様々な方法によって達成できると思っています。

書く量を減らす代わりに,他の生徒と意見を交換したり,映像や写真を見たり,インプットの種類を増やすことでも,記憶の定着を図ることはできるのではないでしょうか。

書く力とは

そもそも,書く力とは一体どのような力を指すのでしょう。

いろいろな意見があると思いますが,私が考える書く力とは,

伝えたいことを誤解のない文章で表現すること

だと思います。

書く力とは,黒板に書かれてあることをそのまま自分のノートに写すことではありません。これは,書き写す力です。

本物の書く力を伸ばすためには,自分の考えていること,感じたこと,伝えたいことなどを相手に伝えるような活動を行えば良いと思います。

ノートであれ,ワークシートであれ,書く量が多かれ少なかれ,書いてあることを写す活動では書く力は伸びないでしょう。


ワークシートを使う現実的な事情

しかし,実際にはこんな事を考えてワークシートを使っている先生がどれくらいいるのかよくわかりません。

では,なぜワークシートを使う先生が増えているのでしょうか。それは,板書を写すのにかかる時間が生徒によって大きく異なるからだと思います。

書くスピードが速い生徒とゆっくりな生徒とでは,教科書の一文を書くだけでも1分以上の差がつくのではないでしょうか。

すべての生徒が書き終わるのを待っていると,授業が思い通りに進まず,学習進度に影響を与えてしまいます。

こうした時間短縮の側面からワークシートを使う先生が増えているのではないかと推測します。

ワークシートを準備すると仕事が増える

ワークシートを準備すると,教師の仕事が増えます。ノートのみを使用するのであれば,板書計画だけを考えれば大丈夫です。

しかし,ワークシートを使用する場合,ワークシートの作成に加え,
1 配布・回収
2 チェック
3 返却
の仕事が増えます。一つ一つの仕事量は大したことはないのですが,毎回の授業でワークシートを使用すると,少し面倒に感じてきます。

※地味に効いてくるのは,2と3の間にある「保管」です。生徒に返却するまでは教師が保管しておかなければならないので,デスクの面積を圧迫します。

どうにかいい方法がないか,と模索中ですが紙のワークシートを使用している限り避けられない問題のような気がしています。

生徒が端末の文字入力に慣れ,手書きよりも早いスピードで文字入力できるようになれば,ワークシートの電子化もありなのでは?と期待しています。


もちろん,ノートを使うか,ワークシートを使うかに関しては,校種や学年にもよるのかなと思います。
小学校低学年くらいなら,それほど板書量も多くないだろうと思うので,書く量が少ないうちに書き写す練習はしておいて損はないかと。