【エッセイ】ダラダラする時間と焦る気持ち ~自粛期間を経た心境の変化~
ダラダラしたい。
ゆっくりしたい。
ゴロゴロしたい。
怠け癖の強い自分にはこんな欲求が常日頃から頭の中を支配する。
なのだが、働きだしてダラダラも少なくなってきている。
昔はいつまででもダラダラできたし、時間を贅沢に使えていた気がする。
いつの間にやらダラダラする時間が減ってしまったように思う。
これは良い変化のように見えて、実はそうでもなかったりする。
まず、学生時代に比べて、仕事をするようになってから、そもそも自由な時間が減ってしまった。
そのため、ダラダラできる時間は貴重な時間になってしまった。
そのほかにやらないといけないこと、やりたいことを押しのけて、ダラダラするのがもったいないと感じてきたのだ。ダラダラしているのなら、あれがやりたいこれがやりたいと考えるようになった。
では、やりたいことを効率的にやれるようになったかというと、これはまた単純には上手く行かず、そうでもない。
体や頭は疲れているので、あれをやりたいこれをやりたいと思うことよりも、不思議とダラダラしたいという欲望が勝ってしまう。
すると、ダラダラしたくないと思う感情とダラダラしたいと思う感情という矛盾した2つの感情が、同時に存在する事になる。
この状態はかなり厄介である。
ダラダラしていても心が落ち着かないし、忙しく物事に取り組むのも疲れるというどちらをとっても不満が残ってしまうのである。
こんな複雑な感情の中で、バランスを取りながら人生を歩んできた。
そして、そんな状況で発生したのが、このコロナ禍である。
これまでの生活に比べて、一段とゆったりとした生活が送れるようになった。
何かしようとしても、世の中の状況から考えて何もできない。ただ暮らすだけの日々だ。
そんな状況なので、一種の諦めに近い感情から何かしないと、という焦る気持ちもない。
その点では、自分にとってプラスの影響を及ぼした。
自粛期間の2~3ヵ月、念願のゆったりとした生活を満喫する事ができた。
さて、完全な自粛モードが徐々に解けて、完全ではないが好きなことができるようになってきた。
だけれども何か前までとは、感覚が違う。
これまでよりも、何かしないと、という焦る感覚が前よりも増大していたのだ。
人生何が起きるか分からない。
やりたいことをやって生きたい。
そんな気持ちが自粛期間を経て強くなった。
そのため、より一層焦る気持ちによって、ダラダラする時間が楽しくなくなっている。
もっと色んなことをやってみたい。考えるよりも行動してみたいという感覚が強くなった。
しかし、何かやりたいの肝心の何かが見つからない。
あれもこれももっとちゃんとやりたい。
でもどうしていいのか分からない。
焦る気持ちだけが残る。
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