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音楽×NFTはアーティストとファンの「どんな関係を創るか?」を考えよう

NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)が2021年の流行語大賞にノミネートされてから一年以上が経ちましたね。
日本国内もNFTを活用した事例が増えました。完売!即売!というニュースがある一方で、「NFTは売れない」「所有のメリットが感じにくい」という声も上がってるみたいです。

売れぬNFT、定着遠く 所有の利点打ち出せず
米最大市場、取引高17分の1に Jリーグ・楽天は動画など9割残る

日本経済新聞

レコチョクでも2021年10月に音楽業界向けECソリューション「murket」(ミューケット)の提供を開始し、翌年1月からmurketでNFTアイテムの販売が可能になりました。

今回は、レコチョクでNFTをはじめとするweb3プロジェクトを推進している次世代ビジネス推進部のメンバーに「NFT売れない」って本当なの?と私、ゆるりが直撃してみました!


「NFTが売れない」は間違い、グローバルでは今日もNFTが売れている

ゆるり:次世代ビジネス推進部から、こなんさん・エンジニアNYOKOさん・エンジニアGさん・ディレクターKさん・新卒Tさんに集まっていただきました!よろしくお願いします。
早速ですが、「NFTが売れない」という記事に対する皆さんの率直な感想を教えてください。

エンジニア NYOKO:直近数ヶ月のNFT販売ボリュームは変わってないんですよ。世界中のトレンドで言うと、一週間に一種類は必ず人気のNFTが販売されている。

こなん:世の中的には、売れてないと言ってる人もいますけど、販売ボリュームが減ってないということは、NFTへの期待が上回ってるんだと思います。ただ、日本のNFTコレクションって「Murakami.Flower」一強な状況がずっと続いてて、それを超えるようなものは全然出ていないように感じます。

NFT商品は「二次流通もできますよ」とか、「NFT所有者に向けてこういうことが今後起こりますよ」とか、楽しむ手段が多くて楽しめる期間が長いのが、通常のデジタルコンテンツとの大きな違いだと思うんです。
売り買いしたり交換したり、所有体験が成長するのを待ったりできるので、買って終わりじゃないんですよね。なので、新しく売り込んだとしても「まだこっちを楽しんでいるので・・」となってしまうというか。マーケットがまだ循環してないのはあるかも。


それNFTじゃなくてもよくない?商品力がないと結局売れない

ディレクターK:「NFTが売れない」って言われているのは、最初の期待値が高すぎて「思ってたより売れないね」となるのが一つと、ぶっちゃけ「もともと売れないものはNFTにしても売れないよね」っていう、その二つな気がしますよね。

こなん:僕たちがNFT商品を企画、提案する時に起きるんですけど、NFTで提供しようと思っていたものが、普通のデジタルコンテンツに変わったりするんです。「それNFTじゃなくてもよくない?」っていう。

普通のデジタルコンテンツでも、それ自体が素晴らしいものであれば、お客様は喜んでくれると思うんです。普通のデジタルコンテンツで「なんかね」ってなるものは、NFT化しても「なんかね」になる。
ここに想いが向いてる人って、まだあまり多くないのかも。

ディレクターK:そうだね。

こなん:デジタルコンテンツをNFT化したら単価が上がるとか需要が上がるとか、そんなおいしい話はなくて、やっぱりそれはコンテンツとか企画とかストーリーの作用だと思っています。

ゆるり:新しい技術を取り入れれば需要を作り出せるんじゃないか?と期待しちゃうけど、手段を切り替えただけだから、コンテンツの魅力やストーリー性といった商品力がないと結局は売れないということですね。

レコチョクのmurketで「POiNTを一緒に応援できるNFT」を販売した事例も、発売時は、二人の幼少期からPOiNT結成、日本最古のNFTアイドルとなった今に至るまでを未公開写真を含む100点を超える写真でたどれる内容になっていて、今後の活動も随時更新されていくことで、一緒にPOiNTの成長を応援していけるNFTでしたよね。
NFTの所有者は、限定のメタバースコミュニティ「ReCone(リコーン)」とも連携できて、POiNTの限定コミュニティ「POiNTの部屋」に参加すると、メンバーのオフが詰まったブログやライブ配信なども楽しめるという内容で、やっぱりストーリーやつながりを意識した企画が大事なんですね。

こなん:うん、うん。

エンジニア NYOKO:「NFT売れない問題」は最初に言ったように、世界で見るとNFTのトレンドは下がってないことが数字から分かります。

日本国内の動向はどうなのかというと、アシックスがシューズのNFTコレクションを販売したり、ソニーがPlayStation×ブロックチェーンに向けて特許を申請したり。テレビ業界やゲーム業界をはじめ、web3に挑戦していこうとしている企業が多いです。

売れないっていうニュースが出てはいるけど、企業としては可能性をすごく感じていて、まだまだチャレンジベース。
レコチョクもそこに可能性を感じて取り組んでいます。


web3へのチャレンジは有名アーティストにはアドバンテージがあるし、無名アーティストにはチャンスがある

エンジニアG:「NFTが売れない」には、有名IP(知的財産)しか売れないみたいな話もあると思うんです。既に有名なアーティストやクリエイターが出したNFTコレクションだから売れた、みたいな考え方はどう捉えていますか?

こなん:僕はYESの側面もあるし、NOの側面も持ってますね。
 例えば、既に有名なアーティストのNFTコレクションなら一気に1万人が購入する可能性が高い。それを成功とするなら、僕は既に有名なアーティストやクリエイターはNFTをはじめとするweb3に挑戦するアドバンテージがあるんじゃないかなと思います。
 
一方で、web3でエンターテイメントの楽しみ方が変革期を迎えている。だからこそ今までのフィールドではうまく戦ってこれなかった方々にスポットライトが当たるチャンスは平等にありますよね。
サービスが変わったり、あり方が変わるタイミングで、見つかるべくして見つかる人はこれからもいるんじゃないかなと思います。

エンジニアG: そういう意味では、「NFTが売れない」っていうのは有名か無名かという話よりも、やっぱりコンテンツの作り方から変えないと売れないんじゃないか、っていう考え方の側面が強いっていうことですね。


音楽×NFT成功のカギは「どんな熱量をもったファン」と「どんな関係」でつながっていたいか

ゆるり:音楽ビジネスにNFTを上手に取り入れていくためには、どんな視点が必要だと思いますか?

こなん:音楽業界が今までビジネスにしてきたものって、アーティストやコンテンツの「尊さ」であって、「完成度」「クオリティ」「素晴らしさ」だと思っています。
それらとNFTを掛け合わせる事で価値が増幅されるっていう考え方をしてしまうと、VIPビジネスに行き着いてしまうと思うんですよね。一人とか、十人とか、ごく少人数しか聴けない音楽みたいな。
 そういった状態を僕らは望んでないですし、きっとアーティストもファンのみなさんも望んでないと思います。

NFTは「証」でしかないと思うんです。
アーティストとファンの関係が「NFTでつながること」に切り替われば、できることが増える。NFTというつながりがあることで、今まで実現できなかったことも実現できるようになる。選択肢が増える時代が来ると思います。ここには明らかな革新性がある。
 
もちろん、コンテンツがどうあるべきかも大事です。
「どんな熱量をもったファンの人とどんな関係でつながっていたいか」をNFTという商品に込めてもらう。そのプロセスを経れば、「売れる」とか「売れない」っていう考え方にならず、届けたい人にどう届けるかだけの話になるんじゃないかなって僕は思います。

エンジニア NYOKO:あと、web3周りの技術を使うと、今までは一年以上かかって作っていたものが2~3時間で作れるようなツールとかシステムが構築されつつあって、エンジニアとしてすごく可能性を感じています。

こなん:既にあるNFTに僕らが体験をアドオンするアプローチも追加されてますよね。今までは、サービサーはコンテンツを独占的に出してもらうみたいにサービスとIPがセットでしたけど、今後は、IP×NFTの価値としてIPが自走していくんじゃないかと思います。
 
現時点では、あるアーティストのNFTを売り買いできる、で終わっているけど、例えば、レコチョクが関わることでNFTの所有者に向けてアーティストの音源がもっと聴けるサイトを利用できますとか、新しいコンテンツを販売するとかで発展していく。そして、別のサービサーがNFTの所有者だけに配信ライブをしましょうとか、オフ会をやりましょうとかさらに広がっていくみたいな。
特定のIP×NFTにいろんなサービサーが関わって、様々な体験でファンを楽しませる世界観が実現できると、IPの価値がもっと高まるチャンスがあるんじゃないかなって思います。

ゆるり:なるほど~新しい技術によってエンタメの可能性が広がると思うとワクワクします。レコチョクとしても音楽×web3の可能性をこれからも模索していきたいですね!
最後に、音楽ビジネス関連の事例で最近気になった事例を教えてください。

新卒T:アイドルのオーディションとかプロデュースとか育成系にNFTが使われる事例がすごい増えてきたなと思っています。
NFT所有者は投票に関われるよとか、デビューした時にいいことあるよみたいな形式がひとつのフレームワークになって来た印象がありますね。 

サンミュージック沖縄アイドルプロジェクト
トークンを活用した共創型コミュニティで、新たな「応援」と「アイドル」の形を沖縄から築く。

日本テレビ×プラチナムピクセル「NFT IDOL HOUSE」
SILENT SIREN すぅプロデュース “新”アイドルプロジェクト「NFT IDOL HOUSE」が始動!

Tokyo Meta Idol
Tokyo Meta Idolとは「リアルとWeb3の世界で活躍するアイドルグループをプロデュース」をビジョンにかかげるNFTプロジェクトです。

NFTを組み合わせたアイドルオーディション事例


おわりに

音楽のデジタル配信事業でレコチョクが培ってきたノウハウを、NFTなどweb3という新しい領域に活かしていくことで、「音楽市場の最大活性化」を実現すべくレコチョクの最前線でweb3プロジェクトを推進している次世代ビジネス推進部の座談会、いかがでしたか?
 
音楽×NFTを日々真剣に考えているメンバーは、まさに次世代の音楽ビジネスを見据えた視点を持っていて私も勉強になりました。

レコチョクweb3プロジェクトのポータルサイトやSNSアカウントもあるので、気になった方はぜひそちらもチェックしてみてくださいね!

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そして、web3やmurketについて興味を持っていただいた方は、ぜひレコチョクへご連絡ください!

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