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子育て中、他人のSNSを見て死にたくなる時

SNSが無ければきっと、生まれることはなかっただろう感情がひとつある。

シングルの時は、仕事をバリバリしてて休日は友達や彼氏と楽しんでいる様子の女友達に。
結婚が決まれば、同じ時期に結婚する友達の結婚式や指輪のグレード、新居、はたまた素敵なプロポーズのエピソードに、嫉妬と優越感を繰り返してきた、どうしようもない人間が私だ。

その後も結婚生活、引越し、出産など、ひとつひとつをいちいち他人と比べては、自分が他人から見て「どの位置」にいるのかをチェックする。うんざりである。

それなのに、インスタをスクロールする指が止まらない。その範囲は、リアルな知り合いだけでなく、いつの間にか赤の他人にまで及ぶ。

今や指先ひとつで、お互いを全く知らない、離れた土地にいる、一生すれ違う事すらない相手の、私生活が見えてしまう。
何を買ったか、どんな家に住んでて、どんな家族か、働いてるのか専業主婦なのか、それはもう事細かに。

自分でも可笑しいと思っている。
他人と自分を比べて、そこに自分の幸せ度や人生のレベルを測るなんて行為は馬鹿げている。だけど無意識にそれをしてしまって、気付けばドッと疲れている。

例えばこんな瞬間だ。
息子が産まれて、同い年の赤ちゃんを育てる人の投稿をよく見る。インスタに載ってあるのは大抵大きな家、お洒落で広い子供部屋、ブランドものの子供服…
当たり前のように我が子にそれらを与えられる高い生活水準。それを目の当たりにしたとき、私はそれらを息子に与えられていない事に気付く。
このお金持ちの家の子のほうが幸せな人生を送るのではないか。何でも与えられて、旅行にも連れて行ってあげて、何不自由なく、きっとお金の事を気にせずやりたいことをさせてあげられるのだろう。私の息子は私のもとに産まれてきて良かったのだろうか。親として一気に自信がなくなる。ごめんね、こんな一般庶民で……

と、上記のような考えが頭を過ぎる。

我ながら歪んでいると思う。わざわざ不幸な思考を自ら生み出しているという点では自傷行為に近い。

きっと、SNSが無ければこんな気持ちにはならなかっただろう。
リアルな知り合いならまだしも、赤の他人の家庭や経済状況を垣間見るなんて事自体が不可能なわけだし。他所の家庭の子育て事情なんていう知らなくても良いことを知る事もなかった。
だけどSNSならそれができてしまう。それらはあくまで生活の一部を切り取っているものだとしても、だ。

SNSを見る時間が長い人は幸福度が低い

心理学的にいうと、「SNSを見る時間が長ければ長いほど自分を不幸だと思い込む」らしい。
何故ならば、マイナス感情は自分と他人を比べる事で産まれやすいからだ。まさに私!

本当は、嫉妬なんてする必要はないはずである。
私の人生だって全然悪くない。結婚以来、夫の希望で専業主婦をしながら子育てする毎日。趣味のネットショップでお小遣い程度の収入もある。
夫は優しいし、よく働くし、子育てにもめちゃくちゃ協力してくれる。夫婦仲も良い。
義家族もみんな優しくて良くしてくれるし、それ以外のめんどくさい親戚付き合いも一切ない。
何より息子は可愛いし、健康ですくすく育っている。書き連ねれば良いことづくしである。

本当は、持っているものの方が多いはずだ。それなのにどうして無いものの方にばかり気を取られるのか。なんて欲深い人間なのだ、私は。

今日もとあるセレブ系ママインスタグラマー(肩書きてんこ盛り)を見ていた。
何万円もするハイブランドのベビー服、お洒落で可愛い娘さん、高級外車に、港区の高級マンション、子供の為に用意した高級ベビーグッズ……

すると、お昼寝をしていた息子の泣き声でハッと現実に戻された。持っていたスマホを放り投げて、私は息子のもとへ駆け寄った。
起きたての息子は寝ぼけていて、私の顔を見てキョトンとしていた。そしてそのまま、私のお腹に抱きついてきた。

そうだ。
私は改めて現実と向き合う。
画面越しの世界ではなく、目の前にいるこの子が私のリアルなのだ。画面を見るより、一分一秒でも長く、この子を大切にしよう。他人を羨ましく思うより、どうしたらこの子をより幸せにできるのかを考えるべきだ……

息子は私のお腹に顔を埋めると、安心したのか再び眠りについた。まるで、私をSNSから引き離す為に、わざと起きたみたいだった。(そんなわけないのだが)
本当に大切な事はSNSにはない。全部この子の中にある。

高級ブランドのベビー服なんて、この子は別に望んでいないのに、そんなどうでも良いことで、私のエゴで、この子を「不幸な子」扱いするところだった。
我が子に劣等感を植えつけかねないような考えをした自分が情けなかった。他の誰に何を言われても、私だけはこの子を否定してはいけないのに、この子の生まれた環境を否定してしまうなんて。ごめんね。本当に、ごめんなさい。

そんな時、先日読んだとある特殊な育児本に(すごく良かったのでまた紹介したい)書いてあった。

親が裕福か貧困かではなく
親が分け与えた時間の絶対量が少ないと
子供の精神面は十分に養われない


これはとある有名なIT企業の男性経営者の言葉なのだけど、なんだか救われた気がした。

同時に、親の心が貧しいことが一番悪影響を与えるんだろうと思った。

私は息子を愛してる。おそらく息子も、私を愛してる。原点は、いつだってそこだ。

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