【エッセイ編】『茄汁煎蝦碌』 香港の蝦は忙しい??? (PART I)
香港の家庭料理とは、いくら香港が好きであっても、いくら香港のレストランをよく知っている『超級香港迷』であっても、家庭でしか食べられないものまで深く知ることは難しいこでしょう。
香港は中国全土、主に中国広東省出身の人々が集まった地域。そのため各々の食文化を交差させるあまり、現在の香港料理から元の文化を紐解くのは大変困難です。廣東省だけで、中山, 東莞,佛山,潮州,などなど、それぞれの場所の独自の食文化があり、全てを知ることは相当な努力が必要となります。
例えば、日本では地方によって、味噌汁で使う味噌は様々で、具材も違うし、全国の味噌汁を知ることは無理であるのと同じ理屈です。
但し、長く香港で暮らしていると、だんだん市民たちは香港の一般的な食文化を取り入れ、旧正月のメニューはなんとなく似たようなパターンになってきた背景があります。
日本と同じく、お正月のメニューは必ず縁起が良いものを用いて、一年の始まりには多くの福を迎えられる年になるように願います。
縁起がいい食材はたくさんあり、蝦は必ず登場する食材の一つ。蝦の広東語は『哈』と言い、『哈哈大笑 』の意味で、「笑う門には福」 という日本のことわざの意味と似ています。英語にも、"Fortune comes in by a merrygate"という表現があり、笑い声が満ち、和気藹々とした家には、幸福が巡ってくるという意味です。笑うと幸福が訪れるのは世界的な共通点みたいですね。
実家では、大晦日の夕飯:『團年飯 』は元旦の食事よりも一番大事にしていました。家族全員が揃って食べると、来年の一年は「円満」になるというニュアンスでしょう。『嫲嫲 』(祖母)はよく『茄汁煎蝦碌』(香港家庭風ケチャップエビ炒め)を作りました。ニコニコよく笑う家や人には、自然と幸福が舞い込むことでしょう。
香港は世界各地から色んな蝦を手に入れられる場所です!
この料理に限り、蝦はうちでは超特大有頭蝦にしています。どのくらいデカい蝦かというと、一尾あたり500mlペットボトル程の長さとペットボトル半分の太さがあるぐらい大きいサイズのもの。サイズが大きく、『嫲嫲 』は長く加熱するので、結局パサパサになってしまいます。子どもの時、この蝦が出た瞬間に眉間にしわが寄ります。蝦がパサパサで食べたくないのです。皮肉な話で、その様な蝦を食べても嬉しくなく、笑わない! 『哈哈大笑 』にならない。
この料理の名前を分析してみましょう。『茄汁』とはケチャップのこと、戦後にアメリカから国際大都市である香港に伝えられてきたのでしょうか? 調べてみたら、なんと、ケチャップの由来は中国南部地方の魚発酵調味料『|膎汁《kê/kuê-tsiap》』だそうです!『煎』とは「焼く」の意味で、『碌』の広東語の意味は忙しい!
どうして海老は忙しいの???
『碌』と広東語発音は『轆』と同じ、『轆』の広東語意味は太い棒状のものを説明する単位。『轆』の書き方は難しいから、同じ発音の『碌』にしたのではないかと思います。
ですので、我が家がこのメニューで必ず超特大有頭蝦を使う理由とは、棒ほど太さがないと『轆』にふさわしくないからです。『蝦碌』というメニューを見ると「頭付き、殻付き、デカい海老」が出てくるだろうとイメージします。
何年ぶり実家の兄弟全員揃って『團年飯 』を食べてないでしょうか?
もう・・・
一生
揃わないではないかぁ?
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