折々のチェスのレシピ(226)
序盤で無駄にクイーンを繰り出してくる相手は伍しやすいということは何度も書いてきました。その手筋もいくつかご紹介してきました。今回はこれまでよりも複雑な手筋でクイーンを捕獲してみたいと思います。
黒のクイーンはすでにほとんど餌食になっています。
クイーンを捕獲するのにどうしてe4なのか? と思われるかもしれませんが、これには訳があります。後でご説明します。
タダなので多くのプレイヤーは取ってきます。
黒が気持ちよくなっているところで対応を迫ります。
自陣にクイーンを突っ込まれてはいけないと考えた黒はb6とポーンを上げてくる可能性が高いです。実はこれ、黒は自分のクイーンの可動域を自ら狭めています。
そこで、黒のクイーンを取る下準備をします。黒はここでクイーンを逃げないといけません。逃げないで他の手を指すと、
これで黒のクイーンは死んでしまいます(Qa6ならNc7)。
この手筋で疑問に感じられるかもしれないのが第2図ではないかと思います。なぜポーンを捨ててしまうような手を指すのか? 第6図で黒はクイーンを逃さないと死んでしまいました。それに気がついてf5に逃げたとします。f5はビショップに紐付けする手なのでここに逃す黒が多いです。
その際、e4にいた黒のビショップを白はナイトで取り、黒はそれをクイーンで取り返します。白はチェックが掛かっているのでBe2とします。この後、黒がNf6などとしてきたら、
キャスリングします。あれ、ビショップをタダで取られてしまいます。
しかしながら、
これで黒のクイーンの逃げ場所はなくなりました。これが、なぜタダでポーンを差し出したかの答えです。つまり二重にクイーン取りの筋を仕込んでいたわけです。この手筋は多くの人が引っかかります。また、第1図とまったく同じ局面でなくてもこれに似た手筋が可能な場合もあります。相手の駒組みを観察して仕掛けてみてください。
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