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新・チェスのレシピ #4 チェスでスコア1300点超えを目指す人のために

(前回からのちょっとした続きです)

下の局面はよく出会うかと思います。

第1図

注目していただきたいのは黒のクイーンの位置ではなくビショップです。ほかの形が若干異なっていたとしても、序盤早々にg4としてくるプレイヤーは多いはずです。

現状ではクイーンの筋に入っているのでBxf3と取ってきてもクイーンで取り返せば問題ありません。しかし、黒のビショップがg4に居座っていると白はクイーンが使いづらいものたしかです。

ということで、Be2として受けたくなります。しかしながら、このビショップはc4に紐付けしている駒なので、黒がc4のポーンを取ってきたらいずれその駒を取り返しにいく役割があります。その時、e2には駒が不在となってしまいます。

もうひとつ、b1のナイトをd2に設置するという手段もあります。ただしこの場合、ここにナイトがいる間、クイーンの縦の効きが消えるという不都合もあります。

どの受けも一長一短ですが、そもそもなぜg4の黒のビショップに神経を尖らせるかと言えば、このビショップはf3のナイトを取った際にgファイルのポーンでそれを取り返させたいという意図があるからです。白はキングサイドにキャスリングした後(もしくはするとして)、gファイルにポーンがいないとキングの頭が開いており、守りが弱くなるからです。

黒のその意図を挫くにはどうすればいいでしょうか。最も理想的なのは、前回の第1図のように、g4ビショップのターゲットをなくしてしまうことです。それが成功するかしないかは、これは相手次第ですが、可能性は残しておきたいため、一旦受けておいてその間に間接的にターゲットとなっているクイーンの位置を変えるなどしながらチャンスを待ちます。

「チェスのレシピ」では序盤を扱うことが多かったです(これからも多いでしょう)。将棋を指す人は、序盤中盤終盤という考え方が身に染みていると思います。チェスも同じ考え方ができますが、将棋と異なり、数手で終盤模様に突入することがあるチェスはより序盤の駒組みがその後の展開から勝ち負けまでを左右します。序盤で一手間違うことは駒損にも匹敵すると思っていてください。

そもそも今回の第1図で、黒はすでに形勢を損ねています。クイーンを早繰りしてきた理由が不明であるほかにも、これではキングサイドのビショップが使いづらく、フィアンケットをするならクイーンを出す前にすべきであって、ではクイーンサイドにキャスリングをするのだろうかと思ってしまいます(白のポーンが進出しているサイドに!)。

黒のこの序盤の駒組みを見た白は、戦いやすい相手だときっと思うでしょう。白はg4ビショップの動向を見ながら堅実かつ時に大胆に手を進めていけば前回の局面に至ります。


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