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折々のチェスのレシピ(68)

ある程度スコアの高い相手と対局するようになると、早い段階でクイーンを交換することも多くなってきます。今回はその例です。

第1図

クイーンがいないと、拠点を作って相手のキングの頭にクイーンを打ち込んでメイト!みたいな技は、もちろんできません。クイーンが消えた後の指し回しにも慣れる必要があり、また、その指し回しのコツはクイーンがいる場合にも基礎として役立ちます。

クイーンが盤上から消えた以降、留意すべきは、(1)相手の駒をなるべく使わせない、(2)相手の戦力を削ぐ、(3)並行して自分のキングの安全度を常に評価する、など基本的にクイーンがいても同じことではありますが、クイーンがいない場合には、より徹底したいところです。

それを踏まえた上で、第1図の局面における白の最善手はなんでしょうか?

Rd8が最善だと思います。これは上の(1)相手の駒をなるべく使わせないに相当します。白のナイトがd2といういい位置に跳ぶことを防いでいます。第1図では黒から取れる駒がありません。

上の手を見た白が、それでもナイトを使い、眠っているルークを活用しようとすれば、

Na3しかありません。しばらくお互いの手が進んだ局面が以下です。

ここでもまだ黒から取れる駒はありませんが、

一旦ナイトを引いて、f6のマスを空け、黒はいずれBf6とする手を見せます(間接的にb2のポーン取りにあたります)。f6の地点は駒が多く効いていて、強いマスですので、相手の手次第では他の使い道も出てきます。

と、このように地味な手を指し合うことが多くなりますが、実はクイーンがいてもこうした丁寧な指し回しをするプレイヤーのほうが断然強いことは言うまでもありません。普段からクイーンがいてもこうした手を指して入れば、クイーンが盤上から消えても焦らないで済むようになります。

クイーンが盤上から消えると途端に弱くなるプレイヤーがそれなりに存在します。そうしたプレイヤーは、虎の衣を借りた猫のようなもので、クイーンがいないと勝てないです。そうならないよう、クイーンの衣に頼らない指し回しを普段から心がけてください。


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