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折々のチェスのレシピ(154)

何度か書いた記憶がありますが、チェスは将棋と異なり受け潰しという手法が通じにくいゲームです。よって、絶えず攻撃と守備のバランスを保っていかなくてはいけません。

下は白が受けの手ばかりを指し、赤子の手をひねるかのごとく負けてしまった一局です。

受けてばかりいるといかに簡単に負けるかが良くわかる対局です。黒はかなり早い段階から勝ち筋が見えていたはずです。

この対局からある局面を参考にするとすると、

二つのナイトの位置に注目してください。右のナイト(d4)は直接的には相手のクイーン取りになっていますが、最後のメイトの手順で相手の守備のナイトを外す重要な役割を果たしていました。また、左のナイト(f6)は相手のキングの位置次第ではg4のポーンをサクリファイスで捌く駒として使うことができます。また、ビショップも相手の動き次第ではc5からメイトに参加する可能性が残されています。

これだけ周到に駒を配置されると白としてはなす術がありません。黒がこれほど楽に勝てたのは、白が攻めの手を繰り出していないためです。黒は一度も自陣の脅威にさらされることなく常に安泰のまま対局を終えてしまっています。


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