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折々のチェスのレシピ(380)少しだけ高度な知識をあなたに

前回は攻めと受けのバランスを欠いた黒の攻め過ぎの展開を検討しました。では、この局面はどうでしょうか?

第1図

前回とは逆に白が積極的に駒を相手陣付近に集めています。これをc6の地点で順序を間違えずに駒を清算していくと、

この形となり、白の勝勢です。

とはいえ、いきなり第1図となったわけではなく、伏線みたいなものがありました。

この段階で黒が適切に受けておけばなんの問題もなかったのですが、

黒はクイーンで受けてしまいました。これが大悪手で、第1図になることはほぼ避けられません。ここはきっちりと、

ビショップで受けておけば問題はありませんが、ただし、賢明な白は、ここで、

ビショップを引いてくるはずです。なぜ手損をするような手をわざわざ指して来るのかと疑問に感じるかもしれませんが、白はこの一連の手によって形勢を損ねることがないからです。形勢を損ねないのであれば、相手が間違うかもしれない手を指してみようかとなるわけです。

実は、Bb5に代えてNd5というよく知られた手筋が存在します。まずはご覧ください。

この手筋が成功するとたしかに白が有利にはなるのですが、それほど大きな成果が上がるかというとやや疑問で、その後の指し回しもそんなに容易ではありません。ということで、Bb5と指してくる白もそれなりに多いです。

Bb5としたビショップを引いたとしても形勢にほとんど影響が出ないというのは、黒が序盤で白以上に工夫しないとどうしても白有利で進んでしまうチェスというゲームの性質に要因があります

チェスのレシピ」や「新・チェスのレシピ」、そして「折々のチェスのレシピ」で黒番目線から局面や手筋を検討することが多いのはそのためです。


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