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折々のチェスのレシピ(386)少しだけ高度な知識をあなたに
手が広い(選択肢が多い)局面はミスが出やすい場面でもあります。手が広い局面というのは序盤、中盤、終盤のどこにも出現しますが、まずはじめに出会うのが、当たり前ですが、序盤です。例えば、
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黒には選択肢がかなりあります。すぐに思いつくだけでも、h6、Bb4、b6、Be7、c5とこれだけあります。どれを指しても一局ですが、これらの手を順序よく組み合わせていくと面白い駒組みになることが多いです。AIやソフトで研究をしている方は、最善手はどれかという観点から利用していると思いますが、第一候補から第四、第五候補あたりまでを手筋として組み合わせることはできないかと考えると、それがうまくいけば自分なりの(つまり相手が困る)序盤戦術を開発できる可能性があります。
今回はh6とした進行例を検討してみます。h6とした時、白はナイトを取ってこない(ビショップを逃げる)選択肢もありますが、それはジリジリと形勢を損ねます。よって取ってきた局面です。
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ここですぐにクイーンでビショップを捌くプレイヤーがほとんどですが、先ほどの候補手を組み合わせてみましょう。
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チェックが掛かっているので白は受けてきます。
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ここまで手を作ってから白のビショップを捌きます。
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ここで白の何らかの手を受けて、
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c5として相手に手を渡したとします。上の局面は白からするとかなり手が広いです。第1図で手が広い局面を受けて、今度は黒が白に手が広い局面を渡したことになります。さすがにここで大きなミスをする白はほとんどいないはずですが、Nf3としてきた場合には(かなり多いです)、c3で駒を交換してしまい、
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この形にしてしまえば、あとは黒が少しづつではあるもののポイントを稼ぎやすい形になっています。さらに言えば、ここでもまた白は手が広い局面を渡されたことになります。先ほどと異なり、この局面から最善手を指し続けられるプレイヤーはかなり少ないです。
ちなみに、上の局面から白も黒もAIが推奨する最善手を指し続けたとすると、しばらく後には、
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この局面になっています。どうやったらこの局面に至ったかをすぐに理解できる人がいたとすると驚きですが、そのぐらい白が最善手を指し続けることが難しいということでもあります。
この「チェスのレシピ」を書いている人は何十年も前にチェスを覚えたわけですが、当時は当たり前ですがAIなどは利用できませんでした。しかし、第7図は黒がやれる形だという認識はあり、できるだけこの形に持ち込むような指し方をしていました。ただし、なぜこの形がいいのかの理由はよくわかっていませんでした。AIの解析機能を活用できるようになって第7図を分析してみると、なるほど白が最善手を指し続けることが難しい局面なのか!ということが判明。となると、これ以外にもそうした局面は存在するはず。そんな思いつきから始めて今ではそうした局面のストックがかなりの数になりました。これをどうご紹介するか思案しているところです。
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