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数学屋の見た将棋の世界 -将棋は幸福に死ぬ

と題して、「近代将棋」昭和45年7月号に岩堀長慶東大教授の論考が掲載されている。

数学に疎い(ほとんど無知な)自分には途中の論考や数式がよくわからないのだが、途中気になる文章がいくつも出ていくる。

例えば、

第一着手30通りのうち最善手は? - という問は勿論未解決で、それが解けたときに将棋は幸福に死ぬわけである。

という、どこかハードボイルドな言葉とか、あるいは、

後手必勝形を要領よく述べることは、大抵の数学的ゲームでは難しい。三山崩しなどは数少ない解決例の一つに過ぎない。

もっとも興味深い指摘は、

碁や将棋で与えられた局面で確実によい手を見出すことは永遠に新鮮な、挑戦的な問題であろう。その局面が原始局面(指し始めの局面)A1に近い時程、発見されたよい手の威力は絶大である。

この指摘を知ってかしらずか、序盤を体系的かつ本格的に見直したのが羽生世代であることを私たちは知っているのである。


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