折々のチェスのレシピ(217)
さて、下の局面は、ソフトやAIの評価値だと、90 - 10ほどで白の勝勢です。
駒の損得はありませんが、ぱっと見て白が優勢だろうなということはわかります。ただ、90対10ほど開いている感覚は実戦的には感じられない局面だと思います。
実際のところ、ここから白が勝ち切るには、もし黒が最善手を指し続けたとしたら、ほぼ下のような展開になります(初手からです)。
かなり長手数です。実際は、黒がどこかで緩手を指すでしょうから、もっと早く白が勝っているでしょう。とはいえ、逆に白がミスをするかもしれません。そのミスを捉えて黒が勝ってしまうこともあり得ないことではありません。
ということは、白は第1図に至るまでのどこかで良くない手を指しているからこそ、こんな長手数の寄せ筋を残してしまったといえます。だいぶ戻りますが、
この手は明らかに悪手です。白はすでに優勢な駒組みを作っており、あとはキングサイドにキャスリングするだけで、ほぼ完璧な駒組みが出来上がる段階です。それを優先すべきでした。それから仕掛けていっても、まったく遅くはありません。なにしろ、黒からの攻めは当面ないわけなので、そんなに急いで白から攻めていく必要がないのです。
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