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折々のチェスのレシピ(426)少しだけ高度な知識をあなたに

一見すると白の手が相当遅れているように見える局面です。

第1図

ただ、黒からするとこれといった手がなにもなく、次に白から飛んでくるであろうd4という手を受ける手段もありません。白は消極的な序盤の指し回しをしているように見えますが、黒の更なる駒の展開を阻止しつつ、d4を突くタイミングを待っているところです。

もしこの局面で黒がキャスリングをすると、

白からすると待望のd4が実現します。もちろん黒はこのポーンを取ることができないため、Re8などとするしかありませんが、白は眠っていたb1(ナイト)とc1(ビショップ)の活用が可能になります。

まだ勝敗云々を言うのは早い段階ですが、黒が指しにくい形にされてしまったことは明らかです。

黒がdファイルのポーンを保留する指し方は何度もご紹介してきましたが、今回のはその白バージョン的な指し方です。第1図で白がc3にポーンを上げているのに注目してください。これは後手の序盤戦術であるインディアン・ディフェンスを白が援用したような格好です。言ってみれば逆インディアン・ディフェンスみたいな指し方です。

白が黒の戦術を援用する指し方はいくつかあり、対応を事前に研究している黒が少ないことから、相手に間違えさせるという効果が期待できます。興味のある方は研究してみてください。

「折々のチェスのレシピ」でも機会があればまたご紹介していきます。


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