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折々のチェスのレシピ(130)

ここのところ、アニメーショgifで一局の流れを見てもらっていたりします。「チェスのレシピ」と「新・チェスのレシピ」を読んでくださった人はすでに、ある局面のおける次の手の考え方はおおよそご存知だからだと思うからです。

チェスには流れみたいなものがあります。それは、自分に有利な流れか、そうではないかの二つです。次の一手に正解を出せるようになっても、自分に有利な流れを作ることがまだ苦手という人もいるかと思います。自分に有利な駒組みを作るには、流れを自分に有利な方向に向けないといけません。

といっても、それは簡単なことではないのですが、例えば、下の一局を最初から最後までじっくりご覧ください。

黒が随所でまずい手を指していることは明らかですが、まずい手を誘発するような堅実な手を白が指しています。技術的なことはもう解説した範囲なので繰り返しませんが、心理的にもプレッシャーを与えていることに注目してください。白は、黒の駒が自陣に近づけば追い返し、攻め手のようなものが指された時には逆用し、黒がようやく白の陣地を窺おうかという時にはすでに寄せの形を作ってしまっています。黒としては手も足も出ないといったところでしょう。

自分に有利な流れを作るには、攻め手を見せつつ隙を与えないという口で言うのは簡単でも実際に行うには難しい攻守の指し回しが必要です。それができれば苦労はしないよと言われそうですが、将棋と比べれば読みの深度が浅くてもなんとかなるのがチェスではありますが、次の一手が見えるようになったら、その一手を実現するにはどうすればいいかを先回りして考えた指し方をする時期に来ているはずです。

この対局、「折々のチェスのレシピ」を書いている人がみる限り、白は少なくとも5手先(将棋風にいうと10手先)ぐらいは読んで次の手を決めている印象があります。一方の黒は、かなり刹那的に指しています。

ちなみに、この対局は chess.com で1500点台のプレイヤー同士のものです。黒は勢いだけでそのスコアになり、白はチェスの理論を知り、読みも深く、これからもっとスコアを上げていくだろうと思います。


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