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折々のチェスのレシピ(152)

相手にわざと駒を取らせる、という手筋は何度かご紹介してきました。今回もその例です。

白からするとe5のポーンは魅力的に見えるはずです。

ということで、多くのプレイヤーは取ってきます。しかし、

これが投了レベルの一手になります。

問題はいつからこの手筋を仕込んで置くかということだと思います。

第4図

局面を戻すと、この段階から先ほどの手筋をひとつの候補として指していくことが可能です。あくまでも相手次第なので実現するとは限りませんが、すでにあの手筋は発動しています。白としてはそのレールに乗っかってしまったことになります。

上の局面はf2の地点を狙われているので白としてはそれを防がなくてはなりません。二つの選択肢があります。ルークをf1に戻す、ナイトをd4に跳ばす。多くの人の心理として、一度動かした駒を元に戻すのを嫌います。すると、

ここから黒は、先ほどの手筋に誘導するもよし、f2のポーンをナイトで取ってしまい、キングで取り返してきたら、一度クイーンでチェックを掛けてから、d4の地点を捌いていくのもよし、いずれにしても黒の勝ちでしょう。

えっ?そうすると第4図の時点で黒の勝ちが決まっているのか?と思われるかもしれません。大体そうだと言えます。第4図以降、的確に指していけば黒が勝つことになります。

第4図の時点でまだ11手しか指していません。しかし、10手前後で大勢が決まってしまうこともしばしばあります。第4図を見て、白の駒組みが失敗しているとは思えないかもしれませんが、見る人が見ると敗着級の手を指しています。もうお分かりのように、Re1です。それまで黒は若干手が遅れており、一発入れば逆転するという指し方をしています。それを白から逆転させてしまったのがRe1です。これでf2の地点を守る駒がいなくなったわけなので、黒からの仕掛けを誘発してしまいました。


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