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折々のチェスのレシピ(35)

やや複雑な局面です。ここをうまく自分に寄せて展開できれば黒が勝ちに近づきます。白は窮屈な駒組みを強いられていますので、黒にとってはチャンスです。

すぐに二つの選択肢が思い浮かぶと思います。まずは、

当ててきたビショップをビショップで取ってしまう手ですが、その後上のような局面になります。取り立てて脅威にはなりませんが、相手のナイトを自陣に近づけるのはあまりいい気分でもありません。

もうひとつは、

当たっているビショップを一旦放置して、チェックをかける手です。白はキングを逃げざるを得ませんが、どちらに逃げても黒からは後続手にこれといっていい選択肢がなく、攻めが停滞してしまいます。では、どんな手がいいでしょうか。

この手を思いついたら有段者です。もしここで白がd6のビショップを取ってきたら今のナイトで取り返して、ついでに白のb7にいるルークは逃げ場所を失います。よって、

白は、タダで取れるナイトを取ってくるはずです。ここで注目してもらいたいのが、黒のクイーンの横効きが通ることです(3ランク)。これを活かします。

クイーンの横効きを通してから、チェックをかけると、

白のキングはここにしか逃げられません。

さらに追い詰めます(これがクイーンの横効きを通しておいた効果です)。すると 黒はe5のビショップを取ることができて、なおかつチェックがかかり、また手番が回ってきます。まだ白にも駒が残っており勝ち切るには手数がかかりますが、白が黒を追い詰める手筋は当面のところありません。その間に黒は、g、hファイルのポーンで白のキングの逃げ場所を限定します。

一手間加えることで美味しくなるのは料理もチェスも同じです。


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