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新・チェスのレシピ #28 チェスでスコア1300点超えを目指す人のために

さっそくですが下の局面です。

第1図

すでに黒の形勢がいいことは説明不要だと思います。序盤でここまで作ることができれば、黒としては、安心はまったくできないですが、心に余裕を持って手を進めることができるでしょう。

まずどうして数手でこんなに形勢に差がついてしまったのか、一手目から見ていきます。

白の初手からはいくつかのことが読み取れます。クイーンとビショップ両方の出口を開けてきたので急戦を狙っている。ふたマス進められるポーンをひとマスに留めたことから、中央での駒の交換を嫌っている(クローズドな展開を指向している)。全体的に低い陣形を維持し、受け重視の駒組みをする。ざっとこんなことがわかります。

急戦潰しはいくつかご紹介しました。したがって急戦にきてくれればこれ幸いです。

ということで、白は急戦か、そうでなければ受け重視のクローズドな展開を指向しており、低い陣形を好みそうだということから、黒は中央を制圧できる可能性が出てきます。

そういう想定から、黒はd5と強気にいきます。

すると案の上、白はまた守りの手を指してきました。想定が当たったことになります。こうなれば黒は第1図の局面までほとんど白の抵抗を受けないうちに進めることができます。

今回は一手目から相手の棋風を読んでみることをしましたが、数手のうちにおおよそ相手の傾向がわかることがあります。当たらないこともありますが、一定の想定をしておくと自分の手で迷った時には参考になるかもしれません。

下は同じ一局からのさらに進んだ局面です。

ここで黒は、d4のナイトにe6のビショップを交換されるぐらいなら、Bxh3とサクリファイスしてしまう手もあります。白は同ポーンとしてきますが、キングの頭が開いてしまい、これ以降は守り一辺倒になってしまうでしょう。

上の図の局面をもう一度よくご覧ください。白は序盤に手をつけたポーン以外は動かしていません。堅い守りに見えるかもしれませんが、これではナイトをうろうろと動かすしかなくなっています。序盤でポーンを展開させずに勝てることは、たぶん100%ないです。

以下、雑談めいた話です。

スコアが1300を超える人はどれだけ強いのかとたまに尋ねられます。客観的な指標がないので「これだけ強い」などと具体的にはいつも答えられません。ひとつ言えるのは、それ以下の人と指し回しがまったく異なるということはないということです。同じゲームをしているので。ただ、ミスが少なくなることは確かだと言えます。目の醒めるような妙手を連発するというようなこともありません。基礎が備わっているとは言えるかもしれません。序盤を間違えずに中盤まで最低でも互角のバランスを取れるかどうかはその辺りのスコアを分ける要素かもしれません。chess.comには「タクティクス問題」というのがあります。要はチェスプロブレムですが、ラピッドで1300以上を目指すならこの「タクティクス問題」で2000点は軽く超えたいところです。


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