見出し画像

藤井聡太二冠に学ぶ次の一手(2) 棒歩?戦法

「藤井聡太二冠に学ぶ次の一手(1)神の一手に至る過程」の続き

後手はすかさず△5五角と進出。それに対する藤井二冠の次の一手が▲5六銀(第1図)だった。

画像1

第1図 47手目 ▲5六銀まで

6五にあった銀を引いたのだが、この一手がどういう構想の元に指されたのかしばらくわからず、さらに数手進まなければその意図はまったく理解できなかった。

というのも、せっかく位を取った銀を引いてしまうのはなんだかもったいないし、後手の角が5筋で馬になるのを防ぐのであれば4八か5八に金を上げておくべきではないかと素人の私は単純に考えるからである。

次に後手は△4六角とするが、先手の次の一手はなんと第2図だったのである。

画像2

第2図 49手目 ▲6五歩まで

ここで先手藤井二冠の構想がやっと私にも見えてきた(笑)

そう、先手は馬を作られる可能性を許容しても6筋の歩を上げることを優先したのである。この後、6筋の歩を上げて行って棒銀ならぬ棒歩とも言えるような破壊力のある攻めを展開する。

もしこの一局に神の一手があるとすれば、第1図の▲5六銀だろう。

6五に銀がいたままでは歩が活用できないし、銀だけ出て行ってもそれは攻めすぎなのは明らかではあるが、そういうことに気づくのは後になってであって、私のような素人が対局中に気づくかどうか甚だ心もとない(たぶん気づかない)。

当然この構想には、角道を開けるという意味合いもあるはず。後手の角がいなくなるのでその効果は大きい。

もうひとつ、先手は居玉形なので、急戦含みだった点も忘れないでおきたい。実際、この一局は76手で終わってしまった。この対局の棋譜はこちら


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?