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折々のチェスのレシピ(9)

ある対局の十数手進んだ局面です。

黒が苦戦しているのは一目瞭然です。というより、白がすでに勝勢です。いくら黒(後手)が不利なチェスとはいえ、ここまで差がつくのは黒がまずい手を指し、それを白が適切に咎めたからに他なりません。

この対局は黒の指し回しがまずかったという一言で一応は片付けられますが、チェスにおける先後の有利不利はやはりというか厳然として存在します。スコアが上がり、強い相手と戦うようになると後手番で思うように勝てなくなってくることは多くの人が体験することだと思います。

チェスの戦術は黒がどう白に対抗するかという観点から発展してきたと言ってもいいぐらいです。黒でいかに勝つか(あるいはドローに持ち込むか)。我々グランドマスターでもなんでもないただのチェス好きにとっても、黒の戦術を身につけないことには、ただのチェス好きではなく下手の横好きになってしまいかねません。

「チェスのレシピ」では、先手(白)にとってクイーンズ・ギャンビットが使いやすい(有効な戦術)としてしばしば取り上げましたが、では黒の時にクイーンズ・ギャンビットをやられたらどうするのか?という問いが呈されるのは当然です。そこが正に黒が考えなくてはいけないところです。

クイーンズ・ギャンビット対策に苦慮しているという声をいただいたことも実際にあります。クイーンズ・ギャンビット対策は確かにそれなりに厄介です。ということで、まずは白の初手d4に対する対応を詳しく検討していきます。これを身につけてしまうと初手d4と来た時に指すのが楽しくなるはずです。

ではさっそく、

教科書的にはd5と受けるのが従来の定跡です。しかしこの手はクイーンズ・ギャンビットをやってくださいと堂々と受ける手です。クイーンズ・ギャンビットをできるだけ回避できないかという観点からはおすすめできない手です。

初手Nf6としてみてください。これに対する白の応手は主に4つほどあります。それぞれについて次回から詳しくみていきます。どれも基本的には黒の思惑は同じです。


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