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折々のチェスのレシピ(139)

白が初手d4としてきた時に黒がNg3とする序盤の手筋はこの「折々のチェスのレシピ」で詳しくご紹介しました。

今回はその先の展開を少しだけ掘り下げてみます。

以前も簡単にご紹介しましたが、次の黒の手は相手が繰り出しているポーンを捌いてしまうことです。その狙いとしては、上の局面をよく見てもらいたいのですが、白は右辺(黒から見て)がかなりスカスカだという点です。つまり、白のキングは右辺からの攻撃に弱い形をしています。

d、eファイルの白のポーンを、とりあえず今はひとつでも盤上から消してしまうことによって、白の弱点はさらに弱みを増すことになります。つまり、黒はc5としてポーンを捌いていきます(d5もあり得ますが、c5のほうが黒にとってよりいい手です。駒を色々動かしてみてください)。

この指し方の根底にあるもうひとつの考え方は、黒のほうがキャスリングできるタイミングが一手早いこともあります。キャスリングをするかしないかは相手次第ですが、いつでもできる体勢を早く整えられるというのはアドバンテージになります。

上の局面におけるソフトやAIの評価値は若干ですが黒が有利に傾むきます。後手番の黒がこの段階で若干でも有利になる手筋はあまりないので、優秀な戦略だということが理解できるかと思います。


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