折々のチェスのレシピ(69)
白を持って次の手を考えてください。
黒がだいぶ攻め込んできていますので、白は自分のキングの安全度をまずは評価する必要がありそうです。g5に黒のクイーンが進出してくると怖い形になりそうですが、それでもまだメイトされることはありません。よってここは攻めの手を考える局面ですが、もし守りを一旦固めておきたいというのであれば、
ナイトをe2に引いておけば、守りはほぼ万全です。では、攻めるとしたらどんな手がいいでしょうか。ヒント:自分の駒なのに邪魔な駒が存在します。
b6にいたナイトがいなくなればチェックがかかる形にできます。そこでこのナイトをサクリファイスしてしまいます。
クイーン取りなので取ってくるでしょう。そうしたら、
またクイーン取りに当てます。なぜチェックをかけられるのに先にチェックしないかというと、いきなりQb6とチェックをかけるとQc7とクイーンで合駒される可能性があるからです。しかし、上のように一手間をかけるとその可能性は無くなります。
相手のクイーンが逃げたら、
チェックをかけます。これで黒はかなり危険な形になりました。当面、黒からの有効な攻め手が存在しないことから、白も少し手が空いてしまっても(チェックを掛け続けなくても)勝ちに持ち込むことができます。
今回のサクリファイスは、自分の駒なのに邪魔な駒をどう有効に使うかという視点から実行可能なものでした。その過程でb〜dファイルにがっちり組んであった黒のポーンの鎖を崩すことができ、一石二鳥的なサクリファイスです。黒のポーンの鎖を壊すことによって、cファイルのポーンが前に使えるようになった点も白にとってはとても大きなメリットです。
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