プーシキン伝記第3章 南方 1820-1824⑱
しかしながら極めて巨額の売上金からプーシキンはほとんどなにも受け取れなかった。過分な分け前は出版者のН.И.グネージチの手に渡ったのだ。一部の研究者はグネージチを非良心的であると非難する向きがある¹。しかしその時代の認識では、グネージチは非難に値するようなことはしていなかった。文学の所有権という概念は、当時は存在しなかった、またあらゆる詩選集の出版者は、死んでいる詩人の詩だけではなく生きている詩人の詩に対する売上金も、平然とポケットにしまっていた。出版の仕事は《卑しい》ので、