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頭蓋は動くんだよね…??Fascial Dissection参加から見る頭蓋骨

2017年はじめてキネティコスのFascial Dissectionに参加した。それ以来毎年参加しているが、この解剖研修は冷凍検体でいわゆる薬品処理していない、生のフレッシュなご検体を使わせてもらっている。とっても価値ある学びなんだけど、毎年各々が見たい部位のテーマを持ってやって来る。

2017年のテーマは蝶形後頭軟骨結合は可動するのだろうか?と言うものだった。だいたい20歳ぐらいまでは動くと言うものがあるが、そこから先でもオステオパシーを学んでいる人なら動くと信じていると思う。頭蓋自体も同様に…。

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実際のご検体(この時は女性)の年齢は定かではないが頭蓋の縫合全ては固く癒合していた。

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矢状縫合はほとんど消えている表側からも裏側(脳側)からも消えている。

冠状縫合もラムダ縫合も、鱗状縫合も癒合してしまっています。

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この本によるとこう書いてある。頭蓋の縫合は四肢骨の骨端線と同じで頭の成長時はこの縫合で大きさを増し、頭の成長が止まると骨性癒着が起こり縫合が少しずつ消えて無くなる。ただ骨端線と違い老人になっても全部が完全に消えてしまうという事はまずない。縫合の閉鎖は極めてゆっくり進む。表面の外板、内面の内板の進行状態はそうとうに違う。

内板では外板よりやや早く閉鎖が始まり、縫合の閉鎖状態から年齢を推定できる。この場合は内板方が信用できる。

矢状縫合が閉じ始めるのは22〜23歳、次いで25歳前後になると、冠状縫合と人字縫合が閉鎖し始め、30歳代から40歳代の終わりにかけて全部が閉じるという。外板は60歳以上になってもまだ一部が開いている事がある。鱗状縫合は内板でも35歳を過ぎないと閉鎖が起こらない。

という事は、縫合は外側の見える部分より内側の方が早くに閉じ動かない。果たして本当に頭蓋はある一定の歳から先は動くのだろうか?

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僕が毎年解剖に行って頭蓋を開けるとき、縫合の周囲を故意に捻ってみたりする。縫合が動くなら少しは動きを感じたりズレたりするだろう。

塊となって動く気配すらありません。まるで亀の甲羅みたいにして硬く1つのモノなんです。

こんな事を言うと頭蓋療法をする先生方は死んでるからだと言うと思います。

例え生きていたとしても死んだ途端に固まったり、癒合したりしないと思うんですけどね。

僕がやる解剖はかなりフレッシュなので癒合してなかったら動きそうなんですが…

生きている人と冷凍保存されたご検体との決定的な違いは化学反応がないと言うとこですし、内圧が無いです。お腹は腹圧が無く凹み、肋骨(胸郭)はとても柔らかい!内圧が無いと言う事はこう言う事か?と思ってしまいます。

内圧がある事によって縫合が動くとしても、内板が癒合してしまった頭蓋の外板に縫合が残っているから動くのだろうか?

「膜で産まれた組織は死ぬまで膜の性質を持つ」

尊敬するとあるオステオパシーの協会の会長の言葉です。

動く事が重要なのか?動いた様に振る舞う事が重要なのか?何年後に僕がどう思ってるのか?楽しみでなりません。

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