見出し画像

ジャンヌダルクとサンチョパンサの食旅

 COVID-19の気配も見えない約1年前、いつもながらの海外スタディツアーを実施したが、それ以来、フランスの農場や食品市場、学校給食の現場を訪ねることができていないのが残念だ。もちろん今はどこにも行けないが、先日パリの仲間が教えてくれた。Amapの農家と会員はコロナに負けない鉄の信頼関係を守って、いつもと変わらぬ豊かな食生活を維持しているらしい。すでに未来の食卓のバルジャック村とも約束しているし、両国のコロナ鎖国がとれたら、すぐにでも再訪したい。ツアーディレクターとしての楽しいボヤキを紹介する。

2019リヨン学校給食

ツアーディレクターが語る舞台裏

 これまでフランスへのスタディツアーは数回実施しているが、私以外の参加者全員が女性だったのは初めてである。一般のグルメやファッションを求める観光ツアーには「女性限定」という募集もあるが、今回は特に規定は設けていなかったのに、現地コーディネーターの羽生さんも含めて10名が日本のジャンヌダルクたちだった。リーダー役をお願いした山本朝子さんはもちろんのこと、それぞれがいろんな立場で食のあり方を真剣に考えて、実践している皆さんで、ツアープランナー冥利に尽きる構成メンバーとなった。かといって、難しい話ばかりするわけではなく、すでに感想文にも書かれているが、楽しく、明るく、訪問先の特に学校関係者やオーガニック生産農家、流通関係者と積極的に交流し、受け入れ側からも好感をもたれたことが主催者側としては何よりも嬉しいことだった。お陰様で、次の訪問者も歓迎してもらえるだろう。
しかし、旅のスケジュールが予定通りだったわけではない。初日のパリからリヨンへの乗継便には成田出発が遅れたため、乗り遅れ、何とか深夜にリヨンのホテルにたどり着いた。
唯一の日本男児(役職:ツアーディレクター、添乗員、執事、ポーター等)の出番はトラブル発生時である。何とか乗り切ったが、これ以外でも特別手配をしたレストランや訪問先の都合にもより、何度か予定変更をベターチェンジと理解いただくように努力はしたが、それを前向きに解釈してくださった大和撫子(やまとなでしこ)たちに敬意を表したい。
パリの給食では予想外にワインもだしていただき、パリジャンたちの好意に皆さんで感謝した。ある海外旅行ファンに4日間の昼食が学校給食だったと話したところ、案の定、あきれた表情をしていたが、フランスのオーガニック給食(地産地消中心)を食べた皆さんは、味はもちろんのこと、料理の後ろ側に見えてくる学校関係者、生産農家、家族などの未来を託すこども達への思いを感じたはずである。3つ星レストランにはない明るい笑い声と爽やかな空気が食堂に溢れていた。給食関係者でなくても体験するのをお薦めしたい。
 今回のスタディツアーのフィナーレにラ・マルセイエーズが聴こえたような気がした。
 
2019年 夏 

画像2


そんなに長くない残りの人生、これからは、いかに自分が幸運な人間であったかを勝手に伝えたい。たとえそれがささやかな幸せであったとしても、それを誇ることでこれまでの恩人たちに謝意を表したい。