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[読書]『アフロフューチャリズム』

みなさんお疲れ様ですvintageです。本日は読書日記ということで本書を読んだ感想です。

アフロフューチャリズム

とは聞いたことの無い方も多い言葉だと思いますが、一言でいうと音楽やアートなどにおけるブラック・カルチャーがSF的、未来的ヴィジョンと融合したムーブメントです。これは表現系の世界にとどまらず、黒人の苦難の歴史の振り返りを通じて人権問題への広がりもありつつということで社会へのカウンタームーブメントでもあります。それがテクノロジーの視点から光をあてたところが新しさでしょう。
映画でいうと大ヒットした『ブラック・パンサー』を思い出していただけるとわかりやすいと思います。

おっさんの昔話
バルブ期にMZA有明というクラブがあってファンクの大御所P-FUNKの公演を聞きに行きました。
このP-FUNKとかあとアースウィンド&ファイアーもそうだけど宇宙ぽいんですよね。昔からなんでファンクと宇宙って関係してんのかな、、と素朴に不思議でした。
いや~とにかくカッコよかった。やっぱファンクといえば宇宙でしょう!

時代はもうちょっと後になって、デトロイト・テクノのデリック・メイのDJとか聴いてて思ったのが黒人ってデジタル、ピコピコ好きだよなってこと。なんとなく黒人ミュージシャンというとアナログ的に素晴らしいリズム感、、、と言いたくなるんですが結構デジタル好きです。友達にジャズドラマーのA君がいるんですが、彼は完全アナログマンなんですが、黒人ミュージシャンってデジタル好きだよねっていっていた。
確かにテクノもヒップホップもデジタル好きですよね。レゲエ・ダブなんかもそうですね。

さらに昔話。ジャズの巨人の一人コルトレーン。多くの名盤がありますが晩年の数枚はファンですら遠ざける宇宙的トンデモ系、しかしある時私は思ったんです、食わず嫌いではないか?ちゃんと聞いた上で評価しよう!とおもい晩年限定コルトレーン修行をしまして数枚買って数日聴きこみました、、、、奥さんの歌も、、、で、、、これはダメだ(晩年ファンの方すみません)、口直しに「My Favorite Things」を聴く、やっぱこっちだな普通にw
晩年のコルトレーンはダメでしたが、人力テクノともいえる電化マイルス・デイヴィスは大好きです。

話は時空が飛んでSFですが、高校のころサミュエル・ディレイニーの『バベル17』とか好きで読んでまして、ある時黒人作家だと知ってかつゲイであると、、、、これは作品世界に現れる深いものがあるのかもと思い背筋を正して読み直しました。

本のご紹介

長々と昔話すみません、映像作家であるイターシャ・L・ウォマック著、押野素子訳『アフロフューチャリズム』のご紹介です。
ブラック・カルチャーの中にみられるSF的、未来的ヴィジョンを音楽、文学、アート、映像など各ジャンルについて丁寧に分析、解説してくれる本です。この分野の本としてはバイブルになるのではないでしょうか。とにかく各分野における情報量が圧倒的で掘り下げも深い。
自分も上に書いたように大好きなブラックカルチャー+宇宙+デジタル+SFっていうイメージが体系化されないまま長いことゴロンと放置していたんですが、ここでスッキリ整理されており、あああ、これだったのか!と目からうろこが何枚も落ちました。それにしてもエリカ・バドゥが物理専攻だったとは知らなかった。アフロフューチャリズムの潮流の中にエリカ・バドゥも入ってますが、イメージはあれですかね、、、『ブルース・ブラザーズ2000』のクィーン・ムセット。

こうして考えると本書でも言われる通り『ブラック・パンサー』の出現は画期的だったんだなあ。

この本のメッセージはとても明るく前向きです。黒人奴隷の悲劇の時代(=エイリアンにさらわれたようなもの)を踏まえたうえで、未来を創造しよう!というものです。だからフューチャリズムなんですね。

頭がとても整理される良い本でした、野田努の名著『ブラック・マシーン・ミュージック』と合わせて自分の中のバイブルとなりそうです。




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