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『悪い奴ほどよく眠る』黒澤明全作レビュー&イラスト(19)

お疲れ様ですvintageです、この記事アップ飛ばしてました、、、、今作は骨太の社会派and復讐劇で普通に面白いです。同時にコッポラなど海外の巨匠が参考にしたカッコいい映画表現の宝庫です。

ストーリーはこんな感じ(ネタバレ無し)

■盛大な披露宴、土地開発公団の副総裁、岩淵(森雅之)の娘・佳子(香川京子)と、岩淵の秘書・西(三船敏郎)の結婚式。公団で汚職疑惑があり騒然した雰囲気であった。
岩淵副総裁の汚職にからみ、西の父は自殺。西は身分を隠し岩淵の娘と結婚、復讐の機会をうかがっていたが、、、

ここから映画レビューになります、、、
公団の汚職がらみで父を自殺で失った男の復讐物語です。長年かけて戸籍を変え復讐の計画を練っていた西を三船敏郎が演じます。副総裁に近づくための結婚だったのですが、娘の佳子(香川京子)をほんとうに愛してしまい、計画にほころびがでてしまいます。ラストは苦い終わり方の骨太な社会派ドラマです。
香川京子さん相変わらず可憐で美しい、、、

映像と音楽が大胆にして細心、実に映画的でありまして黒澤監督は本当に魅せる映画作りがうまいですね。
まず冒頭の結婚式のシーンが素晴らしい、めでたい席なのに公団の逮捕者のニュースが錯綜し、新郎新婦、挨拶、外にいる記者が交互に映ります。緊張感の盛り上げと同時に、事件の複雑な背景を説明する機能を同時に果たす計算された場面です。このシーンはコッポラが『ゴッドファーザー』で参考にしたらしいです。

また、自殺未遂の職員和田本人が死んだことになっているのでその通夜が行われ、西が和田にそれを車の中から見せる場面。自分の通夜をみるという異常な状況に加えて、西が再生するテープはダンスホールでの上司の会話。和田が死んで口封じになるというような言葉がダンスホールの背後の音楽と同時に流れます。(ちょっと小津映画のポルカっぽい軽快な曲)、ちょうど通夜で読経が始まりその二つの音が絡み合い、この映画の独特のムードを形成します。ここも素晴らしいです

西の身元がバレてからは怒涛の展開、練りに練った脚本による物語の推進力が半端ないです。黒澤プロダクションとして独立第一作目なので気合も十分入ったでしょう。

毎年のように傑作を出しる続けているこの時期の黒澤監督、神がかってます。
時代劇の黒澤映画もいいですが現代劇もおすすめです

ではでは



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