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哲学者ソール A・クリプキ追悼

うちの息子が生まれたときに名前を付けるのが楽しみでした。もともと僕は自分の名前の漢字があまり好きではなかったんです。最後の漢字がひょろっとした形で終わるので息子には末広がり系の漢字を使おうと決めていました。妻とも相談していい名前が付けられたと思います

やっぱ名前って大事ですよね、、、、ゴダイゴも「Beautiful Name」で

名前 それは 燃える 生命(いのち) 

と歌っている通りです

ソール・A・クリプキという哲学者が81歳で亡くなりました。彼は高校時代!!に様相論理学の論文を書いて哲学界、数学界のスターになるというほんまもんの早熟の天才。

名指しと必然性

という一冊の本があります。これを読んだのは20数年前、ちょうど息子が生まれたころだったとおもう。内容はほとんど覚えていないw
かろうじて覚えているエッセンスをご紹介しましょう。

クリプキは固有名というものに注目します。この固有名というものは、例えばアリストテレスという名前です。アリストテレスという固有名を”アレクサンダー大王の教師だった男”とか、いくつかの事実的な記述=確定記述に還元できるという立場がラッセル=フレーゲという哲学者でした。
クリプキはその考えを否定します。確定記述というものはウソのこととか、後から別な真実がでてきたりするあいまいなものです。でもアリストテレスという名指された名前には必然性があると考えました。
これを思いつきだけではなく、精密に論証するツール群をつくっちゃったのがクリプキの天才たる所以。

そのツール群の中でも有名なのが

可能世界論

これまでは●●は必然的であるとか、●●は偶然であるとかいう言い方はモワッとしたものだったわけです。これをクリプキは「現実世界のほかに可能である世界を想定しよう。そのすべてにおいて真となることを必然性と定義しよう、いくつかの世界で真となることを偶然性と定義しよう」と考えました。これにより必然性などのことを様相と呼びますが、この様相という問題を明快な論理で語れるようになったのです。

思いつきを言うだけ番長だったらそこそこいると思いますが、それを証明するツールを開発してしまうと言う天才

このツールを駆使して、固有名というものはどの可能世界でも真となるのでしたがって必然的であると説明します

まあ僕の読解力では要約は不正確かもしれないので興味ある方は上記の本を読んでいただければ。

で、ややこしいことは別にしてですね。クリプキの本は厳密な論証の本なので人生話とは全然関係ないんですが、僕はちょうど息子が生まれて名前をつける時だったこともあって。ああ息子の名前がこの名前であることは必然なんだな、どの可能世界においても真なんだなと嬉しい気持ちになったのを覚えています。

ある対象を名指すということ、、このごくごくありふれた日常の出来事、この点を超絶掘り下げた偉大な哲学者でした

合掌

ではでは




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