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トム・フォード、官能を教えた学校

みなさんトム・フォードというデザイナーはご存知でしょうか。
最近だと映画『ハウス・オブ・グッチ』に、テキサスの田舎から現れ苦境のグッチを救った天才デザイナーとして登場しました。一時期の『007シリーズ』でダニエル・クレイグのスーツやタキシードを提供してましたね。

その特徴はなんといっても”色気”です。メンズ、ウィメンズに共通するのは周囲を圧倒する色気パワー。これでグッチに革命を起こしてブランドを救い、その後サンローランを経て自分のブランドを展開しています。
天は二物を与えてまして、映画監督としても初監督作品『シングルマン』は、第66回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に出品され、主演のコリン・ファースが男優賞を受賞しています。静謐な美の世界と官能性が素晴らしい映画でした。

もちろんトムフォードの服はアバンギャルドで官能的であると同時に、伝統的なテーラードの技法をしっかりっと取り入れた作りになっています。だからこそスーツの本場英国の『007シリーズ』にも採用されたのでしょう。英国人のアッパーな人のスーツのこだわりはすごいですからね。

映画『テネット』でマイケル・ケイン演じる英国の大物スパイが、アメリカ人のエージェントに君のスーツはブルックス・ブラザーズか?と小馬鹿にする場面がありました。自分はロンドン人なのでサヴィル・ロウで仕立てていると言わんばかりです。モード界隈では再評価されているブルックス・ブラザーズが悪いとは思いませんし、今一つこのギャグ?には同意できませんがとにかく英国人のこだわりの一端を見ることができます。
そいう意味ではアメリカのテキサスの田舎者トム・フォードが、ヨーロッパのメゾンを救い、英国スパイのスーツに採用されるなんて痛快な物語ですよね。

10年以上前のこと、人生に一度「トム・フォードとやら、どんなもんかい」試着してみようかと新宿伊勢丹にいってみました。スーツは正直値段的にスルー、ジャケットを記念に試着だけしようと思いました。パッと目に入ったのが一見何の変哲もない紺のブレザー、とりあえずと思って着てみたらこれが衝撃のフィット感。肩回り、アームホールの可動などが人生で経験したことのない吸いつき感。普段スーツはオーダーすることもありますが、フルオーダーのものよりもフィットしました。袖の長さを多少のお直しは必要な程度でした。

で、、買ってしまいました(汗

TOM FORDのジャケット

ラペルがかなり広いのが強く印象に残ります。昔の映画でギャングが着てる感じ。ウエストのドロップも写真ではわかりにくいですが実際はかなりくびれており普通のテーラードにみえてかなり官能的であります。(太ったら着れない、、、)

ただ、パッと見はかなり地味なので誰にも気づかれずに愛用していましたが、ある日たまたま知り合ったファッション関係者(メンズ専門)の方と食事したときに、「え、このジャケットどこのですか?肩のイセ込みの作りが凄いですね!」と驚かれて、おおお、わかってくれましたか!と感動しました。と同時に専門家の鑑定眼ってすごいなあと思いました。その後トムフォード話で盛り上がりました。

現代ではアンコン・ジャケットブームで、軽くてらくちん、肩パットもなくストレッチ素材とかジャージー素材のスーツがどんどん増えてきて、自分も着ますがたまには時代に反逆するようなこのトムフォードのジャケットを着たくなります。

あと、トム様関連のアイテムで持っているのがこのイヴ・サンローランのブーツ

イヴ・サンローランのブーツ

これも10年以上前のものなのでくたびれてますが、修理しながらも現在も愛用しています。
トム・フォードは2000年ごろサンローランのデザイナーに就任しました。ただ色々もめてすぐ辞めてしまったので本人にはあまりいい思い出は無いのかもしれません。
ただ在籍中にブーツの名作「ジョニー」を残した功績はいまでも称えられています。
メンズブーツに女性ぽいヒールをつけてしまったのです。私の持っているのはジョニーではなく、もうすこしマイルドなシリーズです。ジョニーはロックスターかよ!という感じなのでさすがに買うのは遠慮しました。ただこれでもヒールは結構ハイですね。かなりエロいです、、、

まあ値段も値段なのでトム様関連ではこれしか所有してませんがたまには軽くて楽な時代に反逆するのもいいかもしれません

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