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牡蠣には“二倍体”と“三倍体”がある。

こんにちは、株式会社リブルの岩本です。
徳島県海陽町から、牡蠣のスマート養殖事業を展開していくことを目指しています。
これまでリブルの立ち上げについてお話してきましたが、今回はリブルが育てている牡蠣について紹介したいと思います。

天然の牡蠣は、子孫を次世代に残す“二倍体”。

リブルの牡蠣は1年中出荷できることが売りのひとつです。これは、天然には存在しない“三倍体”の種苗(タネ)を主に使って養殖しているからです。

天然の牡蠣は“二倍体”です。
人間を含めた生き物は、母方と父方の染色体が対になり、2の倍数性の染色体数を持っています。自然界の摂理である二倍体は、産卵や出産をして遺伝子を次世代に残す役割があります。

牡蠣も同様に、産卵をします。しかし、牡蠣は産卵をすると身がやせ細って可食部がほぼなくなってしまい、食べ物ではなくなってしまうのです。

そのため、牡蠣は産卵する前の段階で収穫します。

「Rがつく月」は、西日本の真牡蠣の収穫時期。

牡蠣が好きな人なら、「Rのない月には、牡蠣は食べてはいけない」との言葉を聞いたことありますよね?
September(9月)からApril(4月)までに食べましょう、と。

これは、北半球から見た真牡蠣の旬を指しています。「R」のつく時期、つまり寒い時期を過ぎると、牡蠣が産卵を迎えてしまい、身が痩せて食べられなくなるので、「R」のつかない時期は食べてはいけない、と言われているんですね。

「毒がある」「あたりやすくなる」などと勘違いしている人も見かけますが、そんなことはなく、単純に収穫時期の話です。ちなみに岩牡蠣の旬は夏です。

日本では、この言葉があてはまるのは主に西日本の真牡蠣です。
春から初夏に向けて産卵期に入るので、その前の秋から初春が広島などの西日本の真牡蠣の旬となります。西日本の牡蠣をおいしく食べられるのは、GWまでと言われています。

そこからは、水温の低い北海道産の真牡蠣が出回ります。
北海道の夏の水温は、西日本の秋冬の水温と同じくらいなので、この時期が産卵前のおいしい時期なのです。
つまり、日本の夏の真牡蠣は、北海道産しか出回っていませんでした。

“三倍体”の牡蠣のメリットは、シーズン関係なく出荷できること。

ここから少し話を変えて、牡蠣の養殖に使うタネ、種苗についてお話します。

日本も含めた東アジアは、天然の真牡蠣がもともと生息し、天然種苗がほとんどでした。天然の牡蠣は二倍体なので、天然種苗の牡蠣の赤ちゃんも二倍体です。

しかし、オーストラリアには真牡蠣が生息していません。
そのため、40〜50年ほど前から三倍体の人工種苗の生産が始まっていました。三倍体は次世代を残すことがない、産卵をしない牡蠣です。

日本では長く天然種苗で養殖が行われていましたが、温暖化などの影響で、天然種苗の生産が不安定になってきました。必要量の1割しか採苗できない年もあったようです。

そのため、日本でも人工種苗の技術開発がスタートしました。まず最初に始めたのは、日本の生産量の4分の3を占めるほどの大生産地である広島県。県の一大産業ですから、危機感も強かったと思います。

二倍体と三倍体の牡蠣で、育て方に違いはほとんどありません。環境差、個体差は同じようにあります。

三倍体のメリットは、シーズン関係なく出荷できること。例えば供給が少ない夏でも、出荷できます。今まで北海道の一人勝ち状態でしたが、そこに真牡蠣を出荷すればニーズは高いですよね。


二倍体と三倍体では育て方も育ち方も、さほど違いはない。

「じゃあ三倍体だけ育てればいいじゃん」と思われるかもしれませんが、それはやっぱりリスクが高いのです。
養殖をしていると、三倍体は牡蠣に悪影響を及ぼすキッカケがあったとき、ほぼ全滅します。また、産卵前などの時期によっては、二倍体のほうが蓄える力が強いのか、身入りが良いことも多いです。

リブルでも年に6回採苗をしますが、少なくとも1回は二倍体を取っています。

そうそう、「三倍体神話」もあるんですよ。
三倍体は死なないとか、大きく成長するとか、ぷっくりするとか。そんなわけない(笑)。

先ほども言いましたが、二倍体と三倍体では育て方も育ち方もそんなに違いはありません。当社に見学に来る方もいまだに勘違いされている方もいるので、神話はなくなってほしいと思います(笑)。

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