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「生食用の牡蠣」を名乗れる条件とは?

こんにちは、株式会社リブルの岩本です。
徳島県海陽町の美しい海で、牡蠣の養殖をしています。

前回は「牡蠣があたりやすいと言われる理由」についてお話しましたが、今回はそんなあたりやすい牡蠣でも生食用はなぜ大丈夫なのか?生食用の牡蠣って加熱用と何が違うのか?ということについてお話します。

生食用と加熱用の違いは、採れる海域の違い。

何となく「生食用」と「加熱用」だと、鮮度が高いものが生食用、というイメージがありますが、そうではありません。

牡蠣の生食用と加熱用の違いは、採れる海域の違いです。生食用として牡蠣を出荷するためには、そのための海域登録が必要です。海水の検査結果と、そこで採れた牡蠣の検査結果を提出し、「この海域でこの牡蠣なら、生食用として出荷してOKですよ」という許可をもらわなければならないのです。

海域登録されたら、天然牡蠣でも養殖牡蠣でも、むき身でも殻付きでも、生食用として出荷できます。

売られている生食用牡蠣のラベルをよく見ると、登録された海域の名前が入っています。

リブルが養殖、生産している登録海域は那佐湾なので、那佐湾の名前を入れたラベルで出荷しています。

夕日に照らされる那佐湾。絶景です!

ただ、ちょっと怖いのが、前回も書いた大腸菌や腸炎ビブリオ菌などの検査を登録する際にはしますが、その後はどのくらいの頻度で検査をするべきか、というルールが決まっていません。

都道府県単位の条例で決まっていたり、産地ごとにルールを決めていたりすることはありますが、国としての統一した制度はないので、海域登録してしまえば、その後再検査することなく生牡蠣を出荷することもないとは言えません。あくまで自主検査なので、そう考えると少し心配になりますよね。

リブルの牡蠣は、月に1度は検査を実施。

リブルでは、一般細菌、大腸菌、腸炎ビブリオ菌、ノロウイルスの検査を、少なくとも月に1度は実施しています。

ノロウイルスの危険が高まる冬は、ほぼ毎週お願いしています。
本当は必ず毎週、と言いたいところなのですが、ちょうどこの時期は他の検査も殺到して、検査機関が忙しくなるので、毎週とはいかないときもあるのです。牡蠣の名産地ではないだけに検査体制もまだまだ整っていません。

検査結果は、リブルのWebサイトに最新のものを記載しています。

リブルのWebサイトに最新検査結果を掲載しています。

半生は生と同じ。生であたるときは、半生でもあたる。

もうひとつ、よく聞かれるのは「半生」でも加熱すれば大丈夫ですか?という質問です。

結果を先にいうと、半生では菌が死滅しないので、生であたる牡蠣は半生でもあたります。

同じように、生で牡蠣を食べるとあたるけど加熱すれば大丈夫、という人は、半生だとあたります。

最近は低温調理が話題で、鶏肉や豚肉でも中心部がまだ赤くレアな状態で食べるレシピが注目されているみたいですね。

でも、やはりこれは危険です。牛肉と違い、鶏肉や豚肉は内部にもウイルスや菌がいる可能性があります。加熱することで、ウイルスや菌が死滅することを前提としている食べ物だと思うのです。

それを半生の状態で食べると、悪影響を与える菌はそのまま体内に取り込まれることになります。加熱用牡蠣も同じです。これはやっぱり怖いですよね。

リブルは定期的に海陽町の飲食店とコラボしてオイスターイベントをしているのですが、そこでは「半生カキフライ」が人気メニューです。

そこでも、生牡蠣がダメな人は半生もダメだから気をつけてください、とアナウンスしています。

そう聞いて、普段食べているカキフライがきちんと加熱されているか心配になったと思いますが、牡蠣は比較的火が通りやすく、半生でカキフライを仕上げるのは逆にすごく難しい技術なので、おそらく心配無用です(笑)。

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