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糖尿病の生活指導に生かすSDHの知識①「情報の非対称性」:理学療法士がどう貢献できるか?

公衆衛生学の知識を元に、健康的な社会を作りたい理学療法士のジローです。
業務の中で、患者さんの生活指導に手こずることは多いのではないでしょうか?

今回も、糖尿病をモデルに患者指導を行おうとした時に、SDHの知識なしに画一的に「運動しましょう」「カロリー制限しましょう」では上手くいかない事を紐解いていきます。今回は、主にSDHの中で「情報の非対称性」について説明をします。

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情報が非対称とはどういう事でしょうか。
市場で経済的な取引を行うにあたり、その取引の当事者たち全員が同じ情報をもたず、一部の者に情報が偏在してしまう現象のことをいいます。

たとえば、ある商品の売買にあたって、売り手はその商品の品質をよく知っているものの、買い手はそれを知らないという状況が、情報の非対称性が存在する取引の典型例とされています。

ものすごく香ばしい匂い・風味も食品添加物のことも多いですし、素晴らしく美味しい食品の背景に、たっぷりの塩分・糖分が潜んでいることがありますが、もちろん買い手はそのような事はわかりません。

ただ、このような事に非常に興味を持ち勉強している人や、内部の人はよく解っているのでしょうが、情報にアクセスしにくい人には情報は届きません。そもそも、お互いが持っている情報の量・質に違いがある事を認識せずに指導をすれば、反感を買うだけということに気をつけましょう。

特に、テレビは本体があれば基本的には無料でコンテンツを楽しめるお手軽な情報取得ツールですが、CMを出している広告主の不利になるような情報は伏せられているはずです。基本的には「販売促進」なので、どんどん買え買えかつ、「あの商品はダメ」などと言ってしまうと、その会社が潰れてしまうなど大きな問題になってしまうため、内容を明け透けに公表することもない事を知っておかなければなりません。

また、インターネットでは、情報の真偽もフィルターがないため定かではない事が挙げられます。自分から情報にアクセスするということで、自分が好むような解答が載っている情報を集めることも、ネットでの情報収集の問題点と言えます。

様々な情報が溢れている中で、正しい情報を取捨選択できるための、基本的な健康に関する知識は、家庭や小学校低学年くらいからしっかり学べる機会があれば良いですね。
(うちの親族は、医療従事者が多く、国家試験を受けるまでに基本的な医学的知識に触れる機会が多いのですが、普通はそのような家庭ばかり無いと思います)

生活が苦しい家庭では、そのような教育に割く時間もほとんど無いでしょうし。

追い詰められると周りが見えなくなるトンネリングについては↓

今は、理学療法士の働き方としては、病院・施設・在宅でも個別の患者さんという人がほとんどと思います。私個人も、病棟から出た活動では、「1日の単位数が、、、」と、あまり経営側からは喜ばれません。

せっかくの健康に関する知識なのですから、理学療法士が、もっと柔軟に病院の外で活躍できる社会になればいいなと思っています。日中は、病院内で個別の患者さんに対応しますが、時間外にはできるだけ自分の中で厳選した良い情報を広げられるように情報収集・発信を続けていきますので引き続きよろしくお願いします。

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