見出し画像

【S02:COLUMN】青春のディスクユニオン

ディスクユニオンが好きである。
あの黒地に赤のロゴがプリントされた袋を持っていると一端のレコードコレクターと認められた気がするし、店名からして何かの結社ぽくて僕の自尊心を満たしてくれる。

ユニオンの店頭には特価CDが突っ込まれた段ボール箱(通称エサ箱)が設置されている。そこが僕のミュージックライフの出発点だった。

ニルヴァーナも200円で買ったしセックス・ピストルズ も200円で買った。
どちらも大して好みじゃなかったけど、カート・コバーンやジョン・ライドンを知り合いのように語る時、楽器をロクに弾けない自分もバンドの一員な気がした。

聴いたCDの枚数や、詰め込んだ知識の多寡が音楽への愛情を担保してくれる気がした。
音楽が流れている間、いつだって僕はロックスターだった。

最近CDの処分を始めた。一度フィジカルへの執着を捨てると後はあっという間だった。
目下MP3に取り込んではせっせと買取カウンターに持ち込んでいるところだ。そんな訳で最近都下のユニオンでは僕の払い下げ品が出回っている。

あの時、僕が手にした格安のCDも先達から受け継がれたものだと思うし、誰かの心を震わせることがあればなと思う。
インスタントではあるが引退を機に使用ギターを譲りわたすミュージシャンのような心持ちである。

そんな風に音楽と関わってきたのだ。そんな関わり方があってもいいだろう。
それが青春だった。

PS.つい最近、電気グルーヴのアルバムを手放したことを悔やんでいる。瀧。。。

text:トマトケチャップ皇帝/This Charming Man

関連記事


お読みいただき、ありがとうございます。皆さまからのご支援は、新たな「好き」探しに役立て、各地のアーティストさんへ還元してまいります!