【SSW03:STORY】7色の曲を奏でるエンターテイナー・虹空ひなた
都内を中心に活躍するシンガーソングライター・虹空(にじぞら)ひなた。バンドでの活動や、ポジティブソングライターとしてピアノ弾き語り一本で活動した期間を経て、『エンターテイナー』としてさらなる飛躍を誓う彼女の歴史と今後の夢に迫った。
夢見る夢子が『虹空ひなた』になるまで
神奈川県横須賀市出身の虹空ひなたは、4歳から高校1年生まで、ヤマハ音楽教室でピアノを習っていた。
「最初の夢はピアニスト、次は声優さんでしたね。だけど歌うことも好きでした。家でガンガン歌って『うるさい』って怒られているうちに『私は歌うことが一番好きだ』って気づいたんです。中学2年生くらいだったかな」。
子どものころに憧れたミュージシャンはmihimaru GT。小学6年生のときにハマり、CDを買いそろえたり、ライブに足を運んだりした。
「あと、ジャニーズのアイドルも好きです。歌はもちろん、演出を含めて『エンターテインメントの神』だと思ってます」。
中学校の3年間は吹奏楽部に所属してオーボエを吹いていたが、高校では軽音楽部に入部。バンドを組み、YUIや木村カエラ、SCANDALの楽曲などをコピーした。学校内での活動にとどまらず、地元のライブハウスへ出演するなど、徐々にのめりこんでいく。
高校卒業後は音楽系の専門学校へ進学し、ボーカルを専攻。バンドを結成し、渋谷を中心にライブ活動をしていた。しかし2年生へ進級するとともに、バンドは解散してしまう。「オリジナル曲も失って、途方に暮れました」と虹空は当時を振り返る。
しかし「歌を歌っていきたい」という意志は変わらず、ソロへの転身を決意。幼いころにピアノを習った経験を生かし、弾き語りをはじめた。
「最初は手こずりました。習っていたのがクラシックだったから、テンポが合わなかったり、コードが分からなかったり」。
ピアノ弾き語りシンガーソングライターとして活動を開始した当初、彼女は『虹空ひなた』ではなかった。『ポジティブソングライター・茜(あかね)』として、その肩書の通り、ポジティブをテーマにした楽曲ばかりを制作していた。
2015年には1st Mini Album『すーぱーポジティブまん!』を発売。収録楽曲の多くは現在も歌い続けており、特に『夢見る夢子』は、夢と憧れを追う自身の心情を美しいメロディラインに乗せて歌い上げた一曲として、ファンの間で高い人気を誇る。
しかし音楽活動は、なかなか思う通りに行かなかった。試行錯誤を繰り返し、約半年間の活動休止も経験したのち、改名を決意する。
「弾き語りを始めたころの私は、幸いにも、ネガティブな感情を知りませんでした。でも活動を続けるなかで色々なことを経験して、『音楽を辞めよう』とさえ思った時期もあって」と彼女は当時を振り返る。
どん底の精神状態だったが、ライブやインターネット配信を続けたことで、少しずつ増えたファンの存在が心の支えになったという。
「ファンの方々のおかげで、『やっぱり辞めちゃダメだな』と思いとどまりました。同時に『ポジティブなことばかりを歌う必要はないな』とも。自分の幅を狭めるだけだと気づきました」。
心機一転した彼女は、18年6月9日に開催した自主企画イベントにて、『虹空ひなた』への改名を発表した。
苗字の『虹空』には、虹のように彩り豊かに、あらゆる感情を歌っていきたいという想いをこめた。名前の『ひなた』には、陽の当たる場所に行きたい、スポットライトを浴びる存在になりたいという夢を託している。
「それと、『茜』って名前の女性シンガーソングライターはすごく多いんです。オンリーワンな存在になりたいって気持ちもありました」。
唯一無二のエンターテイナーを目指して
改名直後に「『虹の7色』をテーマにした7枚のCDを発売する」と公言した虹空は、一気に活動を加速させていく。
18年12月には1st Single『Special Boy』をリリース。最初のテーマカラーに選んだ『ピンク』から連想した『アイドル』のイメージを盛り込み、長くピアノで弾き語ってきた楽曲を大胆にアレンジ。ピアノ抜きのバンドサウンドで、新たな『自分らしさ』を打ち出した。
19年7月に発売した2nd Single『刹那人魚姫(マーメイド)』では、ジャジーなサーフミュージックにチャレンジ。歌詞には「深海に沈みそうなほど」の想いを込め、テーマカラーの『コバルトブルー』を彼女なりに表現した。
いよいよ20年4月19日には、『イエロー』をテーマカラーにした3rd Singleのリリースが控えている。どんな楽曲になるのかと問いかけたところ、彼女はにやりとして、「黄色ってどんなイメージですか?」と逆質問をしてきた。
「なんとなくハッピーというか、ポジティブな印象を持っていませんか?でも、今回の楽曲は違います。皆さんの『黄色』に対するイメージを良い意味で裏切りますよ」。
『色』をテーマにした活動を始めて以来、彼女は自身のファンのことを『COLORS(カラーズ)』と呼ぶようになった。「心優しくて、シャイな方が多いです」。改名や活動のコンセプトの変更は、彼らにどんな影響を与えたのだろうか。
「賛否両論ありましたね。いなくなってしまった人もいます」。改名前はピアノ弾き語り一本で活動していたが、改名後はカラオケ音源を使用したパフォーマンスを披露するようになったことも大きなポイントだったという。
なぜ活動形態を変えたのか訊ねると、彼女はきっぱり「夢を叶えるためです」と言った。
「弾き語りも好きだし、原点なので辞めはしません。でも、私がやりたいことをやるためには、ハンドマイクで歌う必要がありました。もっと自由に動きたいので、いずれヘッドセットマイクも購入するつもりです(※編集部注:取材時の言葉。20年2月時点で購入済)」。
『ピアノ弾き語りシンガーソングライター』のままでは辿り着けない、虹空ひなたの夢とは何なのか。
「それは、まだファンの方にも発表していないので、言えません。3rd Singleのレコ発ライブの日に発表するつもりなので、ぜひ聞きに来てください」と彼女は笑った。
せめてヒントを、と食い下がったところ「実は去年の夏からヒップホップダンスを習っています」と教えてくれた。
「3rd Singleの楽曲は、自分で振り付けも考えました。今後はジャズなど、他のジャンルのダンスも習いたいと思っています」。
それは単なる思い付きではなく、虹空ひなたのネクストステージに繋げるための行動だと言う。「私はシンガーソングライターの枠を超えて、エンターテイナーでありたいんです」。
その言葉が突拍子のないものではないことは、彼女のこれまでのライブでも明らかだ。たとえば『刹那人魚姫』では、歌いはじめたころから、頭を振ったり、スカートの裾をたくしあげたりといったパフォーマンスを行ってきた。最近は、たまたま衣装として身に着けていたリボンをきっかけに、新体操の動きを取り入れている。
「もっと新しいことができないか、と考えているうちに、新体操を思いついたんです。まだはじめたばかりですが、モノにしていきますよ」。
彼女のこだわりの対象は、楽曲やパフォーマンスだけではない。虹の7色をモチーフにした衣装は数が少ないため、海外のショップから取り寄せている。自作グッズの企画も進行中だ。
「みんなで作り上げるライブをやりたいので、いずれペンライトをグッズに加えたいと思っています」。
今後の目標を訊くと、「ちょうど3年後に、7色のSingleのリリースを終える予定なんです」と教えてくれた。
「ゴールはもう決めています。だからこそ、今からファンになってもらって、そこまでのストーリーを一緒に楽しんでほしいです」。
「歌はもちろん、動きや演出も含めて、様々な色で移り変わるステージを魅せたい」と語る虹空ひなた。彼女がどんなエンターテイナーに育ち、どんな夢を叶えていくのか、大いに期待したい。
text:Momiji,Tsubasa Suzuki edit:Momiji photo:YOSHI
INFORMATION
2020.4.19 (Sun) open 11:45 / start 12:15
レコ発ワンマンLIVE 「COLORFUL PARTY! vol.3 〜咲き誇れ!Yellow!〜」
[会場] 銀座 Miiya Cafe [O.A.] 風見穏香
[料金] 前売¥3,000(+1drink) / 当日¥3,500 (+1drink)
2020.7.19 (Sun) open 11:30 / start 12:00
「どきどきバースデイ!ショートケーキの苺に、にじひながなる!」
[会場] 練馬FAMILY [guest] mel , 翔美
[料金] 前売り¥3,000 / 当日¥3,500 + 1Drink