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【SSW17:WORKS】人との出会いと、良い音楽と、 美味しいお酒が人生のすべて

都内を中心に活動するギター弾き語りシンガーソングライター、わたなべ矢的(やまと)。彼の曲作りの方法や、SNSなどでの活動内容、さらに「音楽と並ぶほど好きだ」と豪語するお酒への思いなどを聞いた。

自身の音楽的ルーツや実体験を軸にした、等身大の曲作り

わたなべがこれまでに作ってきたオリジナル曲の数は、20曲ほどだ。「ギターを鳴らしながらメロディを作って、歌詞を当てはめています」。

代表曲を訊ねると、2019年夏にリリースした1st Album『原点』に収録されている『国道6号線』と『ハロー』の2曲を挙げた。

『国道6号線』は、彼が24歳で就職し、仕事中心の生活に追い詰められ、失踪したときの思い出から作られた曲だ。

「あのころは『死にたい』『もう無理』って思っていたけど、本当に死ぬのは怖かったんです。だから朝、出勤時間に合わせてジャージを着て、リュックを背負って、会社と違う方向に歩き始めました」。

当時は会社の近くに住んでいたため、誰にも見られないように気をつけた。

「『スマートフォンを持っていたら探知されるかも』なんて、変なところで頭が回っていたので、家に置いていきました。本屋で買った地図を頼りに、当てもなく歩いた結果、実家がある東京の方へ向かっていました」。

彼を突き動かしたのは、「何かをしてないと怖い」という強迫観念だった。

「途中で足を痛めたので、2週間ほどかかってしまいましたが、距離としては130kmくらい歩きました。その道のほとんどが、国道6号線だったんです」。

もう一曲の『ハロー』は、サビのフレーズが印象的な楽曲だ。

「僕はJ-popが大好きなので、自分でも、キャッチーな曲を作りたいと思っていました。何曲か作ってみた中で、当時、一番上手くできたと自負している曲です」。

当初は「歌詞よりも、音楽的な部分を聞いてほしい」と考えていたわたなべだが、最近、考え方が変化した。

「メロディが先にあるとはいえ、結局自分の思ってること、等身大のことを歌っているんですよね。そう気づいたとき、自分の曲の聞き方が変わりました。ライブに来てくれるお客さんからも、『歌詞がいい』と言ってもらえることが増えました」。

自分のメッセージを受け取ってくれる人に聞いてほしい、と語る。「僕が歌にこめた、モヤモヤしたものを、共感してもらえたら嬉しいですね」。

2022年上半期には、新たなCDのリリースも予定している。

次はどんな楽曲を聞かせてくれるのか、期待したい。

2つのYouTubeチャンネルについて

Twitterを中心に情報を発信しているわたなべは、InstagramとYouTubeのアカウントも運用している。特にYouTubeは、『わたなべ矢的は弾き語る』と『わたなべ矢的は飲みたりない』の2つのチャンネルを有している。

前者では、Live動画に加え、幾つかのMusic Videoを公開中だ。

「ライブ活動のなかで、動画編集や音源制作をできる人と知り合って、声をかけていただきました」。

2021年9月22日に公開された『ファンファーレ』は、シリアスな歌詞とメロディアスな楽曲に、モノトーンの映像がマッチした作品に仕上がっている。

「この曲は、2020年ごろ、ライブで味わった悔しさを題材に作りました」と、彼は振り返る。

「世の中には素敵なアーティストがたくさんいるのに、僕はまだ駆け出しで、全然ライブが上手くできないし、お客さんも呼べない。とぼとぼ歩いて帰りながら、夜空に浮かぶ月にまで『このやろー』と思って、だけど『ここからだ!』とも思ったんですよ」。

ライブとはまた違う表情が楽しめる作品群、ぜひご視聴いただきたい。

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さて、もう一方のチャンネルには、音楽仲間とお酒を飲みながら対談した動画や、一人で居酒屋へ行き、音楽について語る動画などを投稿している。

「とにかくお酒が好きなんです」と、熱弁をふるうわたなべ。

「20歳越えてから、ずっと飲んでいます。お酒には色んな味があって飽きないし、単純に、酔っぱらうのが楽しいし。僕はわりと内気な性格ですが、酔うと枷が外れます。感受性も豊かになるから、音楽を聴くと、より感動できます」。

30日間、毎日動画を投稿したこともある。「お酒を1本紹介して、その好きな理由を語って、ワンコーラス歌うという内容でした」。

そんな彼の一推しは、ハイボールだ。

「それこそ音楽活動を始めたばかりのころ、四谷天窓.comfortさんのオープンマイクやライブでは、はちゃめちゃにハイボールを飲んでいました。思い出の味です」。

一口にハイボールといっても奥が深く、店によってかなりの違いがあると語る。

「自分で動画を作りながら、色々と調べるうちに、四谷天窓.comfortさんはホワイトホースというウイスキーを使っていたことが分かりました。久しぶりに自分の家で、ホワイトホースでハイボールを作ったら、あのときと同じ味で、思い出がフラッシュバックしました。お店はもうなくなってしまったけれど、飲めば一瞬であのころに戻れます。今でも時々、家で作っています」。

お酒を飲む空間としてのライブハウスや、居酒屋にも愛着を持っている。

「コロナ禍で、あんまりお店に行けていないのは残念です。いつか、ぶらり飲み歩きみたいな企画もしたいですね」。

いつか彼のライブで、手ずから作ったオリジナルハイボールが振舞われることもあるかもしれない。

「お酒と音楽が僕の人生のすべてです」と断言する、わたなべ矢的。彼の今後が楽しみだ。

text:momiji

Information

2022.5.01(Sun) Open 18:30 Start 19:00
わたなべ矢的 バースデーワンマンライブ
「ハッピーエンドをくりかえす」

[会場]Music Bar MELODIA Tokyo(東京都中野区弥生町1-9-3 B1F)
[料金] 前売 ¥3,500 / 当日 ¥4,000(+1D ¥600) / 配信 ¥3,000

1st MINI Album 『原点』

アルバム用ジャケット

弾き語り活動のきっかけとなる2曲を収録した作品。全2曲、¥500。

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